新人で頭一つ抜けた阪神ドラ5・石黒の「今」 2軍15戦連続無失点&1軍3試合登板 今季は「50点」
阪神のファームを特集する企画「熱鳴-鳴尾浜情報-」。今回はドラフト5位・石黒佑弥投手(23)=JR西日本=の“現在地”をお届けする。今季のウエスタンでは40試合に登板して4勝4敗10セーブ、防御率3・50で、15試合連続無失点を記録するなど好成績をマーク。3月10日のオープン戦・巨人戦では1回無失点で華々しい甲子園デビューを飾ると、今季は1軍で3試合に登板し、防御率5・40ながらルーキーとしてインパクトを残した。安定した投球を続ける右腕の今に迫った。 3月10日のオープン戦で“デビュー戦”を飾った石黒は、ファームで着実に腕を上げている。5月22日のウエスタン・くふうハヤテ戦から、15試合連続無失点を記録。僅差の展開で走者を背負った状況など、緊迫する場面での登板が多い中、連続無失点を続けられたのは「心拍数を上げない」ことを常に心がけていた結果だ。 試合前は、キャッチボールなどで球数がかさまないように意識。試合の中では「走者がいたら(球の)高さを(低めに)意識して、いない時は強さを意識する」。加えて調子がいい時にはより球の強さにこだわる。入団当初は上半身で投げている感覚だったが、強さを出すためにフォームを試行錯誤。右膝を曲げないようにして左足に体重を乗せることや、左手の使い方など細かく改良を重ねて、球に力が伝わりやすい形にたどり着いた。 どんな球場でも素早く対応できる力も強みだ。マウンドの傾斜ごとによって体重移動が難しくなるため、踏み込みや「間」を微調整して合わせている。ブルペンとマウンドで硬さや傾斜が全く違う球場もあるため、その都度、入念に確認。傾斜がある球場の方が「思い切っていける」と“好相性”とした。 初昇格初登板となった7月21日の広島戦では、4番手で10点リードの八回2死で登板。「思い切っていこう」と2球で追い込み自慢のフォークで遊ゴロに。ルーキーでは1軍出場一番乗りとなった。「特に緊張した」という8月21日のヤクルト戦では、7点リードの九回に登板。1死満塁の場面を作るも1失点でしのぎ、最後は直球で空振り三振を奪い試合を締めた。 新人の中で頭一つ抜けた右腕。9月1日まで2軍で防御率1・95と成績を残していたが、同8日のウエスタン・オリックス戦から3試合続けて失点が続くなど、シーズン終盤での疲労も垣間見えた。「6月くらいが一番良かった。キャンプでやってきた蓄積が6月でピーク来て」。7月に入り腰を負傷。「練習量っていうか、体を引き締めた方が良かったのかな」と波を無くすため、自身を見つめ直すきっかけとなった。 今季は「50点」とし、「桐敷さんとか石井大智さんとかの立場で投げたい」と気合十分。収穫と課題を多く得て、来季へさらなるパワーアップを誓った。