高温が続く中 福井市沿岸で「磯焼け」が発生 天然ワカメ収穫に影響
FBC福井放送
4月から高温が続く中、福井市沿岸部の浅瀬では「磯焼け」が発生して、天然ワカメの収穫に影響が出ています。 福井市の西部・鮎川地区。ワカメ生産組合の石丸濱夫組合長(75)は50年以上の経験のあるワカメ漁の大ベテランですが、今シーズンの状況に戸惑いを隠せません。 石丸組合長 「初めて。色が変わっている。使えるというと、この部分まで捨てないといけない。この位しか使えない」 ワカメ漁は、箱眼鏡で水中をのぞきながら、岩場に生えているワカメを専用のカマを使って刈り取ります。 今シーズンは、4月に漁が解禁してまもなく水深の浅い漁場は磯焼けのような状態に。表面が赤くなったワカメもあります。 石丸組合長 「これが今の状況。白くなって腐敗している。生えても温暖化のせいか、すぐに腐ってしまう」 県水産試験場によりますと、鮎川周辺の海の表面水温は、4月中旬から下旬にかけて、平年と比べて1度から1.5度高い状態で推移しました。 石丸組合長は、平年と比べ高い海水温の影響で、ワカメの生育が早まったとみています。 石丸組合長 「ここから45分かけて新港まで走る」 過去に例のない生育不順の影響で、石丸組合長は良質なワカメを求めて、福井港の近くまで場所を移して漁をしています。 採取したワカメは天日干しした後、1日をかけて乾燥させて、伝統の味覚もみわかめとして販売しています。 石丸組合長 「天然のワカメが自然に生える。我々にしてみたら財産でもあり、特産品でもある。守っていく役目がある」 半世紀前には地区に50人近くいたというワカメ漁師はわずか6人。燃料費の高騰や担い手不足で厳しい環境が続く現場に、海の異変が追い打ちをかけています。