〈詳報〉313億円で整備から運営まで…県計画の新総合体育館 応札者ゼロ 人件費や資材高騰要因か、入札の構えあった2事業体辞退 事業費や規模・機能見直し含め再検討へ
鹿児島県は27日、鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画する新総合体育館事業で、応札者がいない「不調」となったと発表した。入札を検討していた2つの事業者グループが同日、辞退届を提出した。建設資材や人件費などの高騰で、県が提示した313億円の事業費で整備・運営するのは困難と判断したとみられる。 【写真】県体育館をめぐる主な経緯
塩田康一知事は、報道陣の取材に「事業者とも意見交換を重ねて来たので、残念」と話した。県は10月に事業者へ聞き取りした上で、(1)増額(2)規模、機能(3)整備・運営手法-の見直しも視野に検討する。民間資金を活用した社会資本整備(PFI)手法を取り続ける場合、2029年7月の開業予定に間に合わない認識を示した。 県は事業費削減のため、PFI手法を初導入。設計、建設から運営、維持管理までを民間に包括発注し、29年度から年間約20億円を県費で15年間分割払いする。4月に入札を公告した。 県によると、5月時点で県内外の事業者からなる2グループが入札の意向を示していた。8月に入り「労務費や資材の高騰が続いている」との声が寄せられた。 313億円の事業費は金利上昇や施設の脱炭素化で、基本構想より68億円増えた。県は、契約を結ぶ25年3月までに見込まれる人件費や建築資材の高騰分も含まれると説明する。
新体育館は、現体育館の4.7倍となる約3万平方メートルの延べ床面積で、8000席以上の観客席があるメインアリーナや500席程度のサブアリーナをそろえる。全国大会が開催できるよう、フロア面積は国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の施設基準などを踏まえた。
南日本新聞 | 鹿児島