韓国機事故、警察が空港事務所や管制塔など強制捜査 焦点はコンクリ構造物設置の適法性
【ソウル=桜井紀雄】韓国南西部の務安(ムアン)国際空港で179人が死亡したチェジュ航空機の事故で、警察は2日、業務上過失致死傷の疑いで強制捜査に着手し、空港事務所や管制塔、チェジュ航空の社屋などを家宅捜索した。同機は滑走路先のコンクリート構造物に激突、大破して被害が拡大したと指摘されている。警察は構造物設置の適法性についても捜査する。 構造部は着陸誘導装置の土台で、滑走路から264メートル地点に設置されていた。韓国国土交通省は、安全区域外に位置し、設置は法令に反しないと説明してきたが、実際には規定に違反していたとの見方も出ている。 滑走路周辺の構造物は航空機との衝突に備え、つぶれやすい素材で作るのが国際的な常識とされる。英国の専門家は務安空港の頑強な構造部について「これまで見たことがなく、その場にあることが犯罪に近い」とメディアの取材に指摘した。 国交省は、米国の運輸安全委員会(NTSB)と合同で事故原因の調査を進めている。現場から回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)については一部の部品が破損していたため、米国に送って解析を進める。 1日までに死亡した179人全員の身元が確認された。事故を受けて全国約100カ所に設けられた焼香所には1日までに計16万人近くが訪れ、犠牲者の冥福を祈った。