ちまたの“ファッション腸活”に踊らされていない?腸の専門医が教える腸活のよくある間違い
世の中に溢れる様々な腸活情報。その情報は玉石混交で、「体にいいことをしている気になっているけど、あまり効果がなかった」どころか、「逆に腸に悪影響を与えていた」なんてことも……。そこで今回は、腸の専門医である 江田 証先生に、「よくある間違い」と「正しい情報」をセットで教えてもらいました。 これだけは知っておきたい!長生きするための「腸活7つのポイント」
教えてくれるのは……
江田 証先生 医学博士。江田クリニック院長。毎日、全国から来院する患者さんを胃内視鏡、大腸内視鏡で診察し、おなかの不調を改善することに生きがいを感じている消化器病専門医。『ニュースーン』(NHK総合テレビジョン)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系列)などテレビ、ラジオ出演多数。『腸を治す食事術』(新星出版社刊)など著作累計出版部数は90万部を超え、中国、韓国、台湾などで6冊の本が翻訳・出版されている。
よくある間違い(1) “腸活って、便通をよくするためにするんでしょ?”
便秘が続くとお腹は張るし、オナラは増えるし、肌は荒れるし、気分も悪くなるし、ツライことが多いですよね。私のクリニックにも、便秘に悩む患者さんが多くいらっしゃいます。しかも、便秘を放っておくと寿命が短くなるという驚きの研究報告もあり、便秘を甘く見てはいけないことは事実です。ですが、便秘を治すことだけが、腸活の目的ではありません。 腸は、脳や腎臓、子宮など、体のあらゆる臓器と相互関係にあります。たとえば一見、腸とは関係のなさそうな腎臓ですが、便秘が続くと腸内細菌が作り出す毒素(尿毒性物質)が血液を介して腎臓に達し、腎不全を進行させることがわかってきました。これを「腸腎相関」といいます。 また、子宮内の炎症に腸内細菌が影響しているという報告も。腸内に酪酸菌という「善玉菌」が増えると、子宮内の炎症が改善される効果がみられるのです。このような相互関係を数え出したらキリがありません。つまり、腸を整えることは、便通だけでなく、全身を整えることにつながるのです。 さらに、ストレスを和らげ、睡眠の質を上げてくれるセロトニンは「幸せホルモン」として有名ですが、じつは、脳で作られるのはたった2%のみ。セロトニンの90%は腸で作られています(残りの8%は血液中)。 腸で作られたセロトニン自体は脳に直接作用することはないとされていますが、先ほどの酪酸菌という「善玉菌」が産生する「酪酸」という成分は、血液によって脳まで運ばれ、セロトニンの合成に役立っています。これを「脳腸相関」といいます。腸の健康は、心の健康にもつながっているのですね。 ほかにも、「腸“肝”相関」「腸“血管”相関」「腸“筋”相関」が報告されており、腸は全身の臓器の健康に重要な役割を果たしているのです。