説明下手は「順番を入れ替える」だけで解決する…説明がうまい人が徹底して冒頭に伝えていること
相手に伝わる説明の順番は何か。広報アドバイザーの鶴野充茂さんは「不確定要素や懸念事項があると、最初につい口にしてしまう人は多いが、それでは重要な情報が埋もれてしまう。情報を確定情報と未確定情報に明確に区別して、確定情報に絞って整理して話すといい」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、鶴野充茂『上手に「説明できる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。 ■料理名を聞かずにレシピを並べられると大混乱に ---------- 上手に説明できる人は全体像から話す、 できない人は細かいところから話す。 ---------- あなたは料理番組の案内役を任されたとします。まず最初に伝えるべきものは何でしょうか。 そう、何の料理を作るのか、ですね。はじめに具体的な料理名を紹介しない料理番組など、ありません。 ---------- ×「まず玉ねぎを細かく刻んで、それからにんにくをつぶして、オリーブオイルで炒めます。次にトマトを加えて煮込み、塩コショウで味を調えます。最後にパスタを茹でて混ぜ合わせます。」 ---------- しかし、今日作る料理名を明かさずに、いきなりこのように始めたらいかがでしょうか。 まず間違いなく、多くの視聴者は戸惑うでしょう。 それは、説明も同じです。何の話をしているのかを聞き手が理解しないまま細かい話を進めると、聞き手は「何の話をしているのだろう」と混乱します。 話の方向性や目的を見失って、話を聞き続けようと思う気持ちもなくなります。人によってはイライラとして、気分を悪くするかもしれません。
■全体像を見せてから詳細を伝えていく 一方、説明上手な人は、全体像から話しはじめます。先ほどの料理番組の例でいうと、このように説明します。 ---------- ○「今日ご紹介するのは、地中海風トマトパスタです。さっぱりとした酸味と香り豊かなハーブが特徴の、夏にぴったりの一皿です。材料はこの通りです。調理は大きく分けて、ソースの準備、パスタの茹で、仕上げの3段階で進めます。」 ---------- 最初に調理が完了した料理を見せながら、何の料理を作るのかを説明するはずです。次に料理の材料を見せてから、料理の工程を大まかに説明します。 そして最後に各工程の細かい説明をするといった流れにすると、聞いている人たちもイメージしやすいはずです。 料理番組だけではなく、あらゆるシーンで全体像を見せてから詳細を伝えていく手法は使えます。 ではなぜ、全体像を説明でイメージしてもらう前に、細かいところから説明してしまうのでしょうか。 もちろん、さまざまな要因はあると思いますが、その細かいところが重要だと思い込んでいるケースが特に多いように思います。 先ほどの料理の例でいうと、玉ねぎの切り刻み方が味の決め手になるということで、それを最優先に説明しなければならないと思い込んでしまうのです。 相手にとって最も重要なものは何かを間違えてしまうと、途端に理解不能な状態になることも意識しておくといいでしょう。 ■相手の頭の中に情報を理解するための枠組みをつくる まず、説明するのなら、話の「全体像」を相手に理解してもらいましょう。 そうすることで、相手の頭の中に情報を理解するための枠組みができ、後に続く情報をどこにどう位置付けるか、関連付けるかを決められるようになります。 また、重要な情報に注意を向けやすくなるため、効率的に情報を処理して理解を深めることができるようになるのです。 最後に、どれくらい情報を正確に伝えられるかを試すゲームを紹介しましょう。 話し手にだけイラストを見せて、イラストを言葉だけで聞き手に説明して、聞き手がどれくらい正確に同じイラストを描けるかというゲームです。このゲームをすると、大枠と全体像を先に伝えたほうが、圧倒的にイラストの再現性が高まることがわかります。 聞き手の頭の中で、話し手のイメージをどのように再現するのかを意識する。そのためには、まずは全体像から伝えることが重要です。 ---------- 説明上手な人は、話の全体像を見せることが先決だと意識している ----------