白洲迅、演出家・吉田鋼太郎は「めちゃくちゃカッコいい」 舞台『ハムレット』に懸けた熱意に「身の引き締まる思い」
顔を見ているだけで泣けてきて…
2024年、『君が心をくれたから』(フジテレビ系)に出演。このドラマは、長崎を舞台に悲しい過去から自分に自信が持てず、心を閉ざして生きてきた逢原雨(永野芽郁)が、かつてただひとり心を通わせ、忘れられずにいた朝野太陽(山田裕貴)と再会し、喜んだのもつかの間、事故で瀕死の重傷を負った太陽を救うため、雨は心(五感)を差し出す宿命を負うことに…という展開。白洲さんは、二人を見守る長崎市役所の地域振興課で働く心優しい青年・望田司役を演じた。 ――連続ドラマに立て続けに出演されていますね。『君が心をくれたから』もとても包容力があるステキな役どころでしたね。 「ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいです。あのドラマは、(永野)芽郁ちゃんと山田裕貴くんがすばらしすぎて、途中からはもう役としてなのか、白洲迅としてなのかよくわからないけど、二人の顔を見るだけで泣けてきて…。 そのぐらいつらい境遇にずっと二人は立っているわけだし、僕はそれを見守ることしかできない。できることと言えば、見守ることと、背中を押してあげることぐらいしかできなかったんですよね。 あんなに大変な役って、なかなかないんじゃないかなって。僕が演じた司としては、ちょっと離れたところから見守らせてもらった作品だったなと思います」 ――白洲さんが演じた司さんの存在は、すごく大きいなと思いました。 「ありがとうございます。この間打ち上げがあって、脚本家さんといろいろお話をさせてもらったのですが、それぞれのネーミングに意味があったみたいです。 太陽くんは朝の陽で、雨ちゃんの苗字の逢原の『逢』という字は夕方を表わす意味合いがあって、斎藤工さんの日下は日中で、僕の司は夜を表わすと。だから、司と日下さんは、二人をつなぐ存在になってほしいという意味でのネーミングだったそうです」
2024年5月7日(火)~26日(日)は舞台『ハムレット』の公演が控えている白洲さん。演出は、舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』や『刑事7人』で共演経験がある吉田鋼太郎さん。上演台本も吉田鋼太郎さんが自ら手掛け、より理解しやすいシェイクスピア演劇に。 ――『ハムレット』は、吉田鋼太郎さんから直接オファーされたのですか? 「ここはぜひ真相を知りたいような知りたくないようなですけど、直接というわけではないです。どういう流れで来たのかわからないですけど、普通にマネジャーからそういう話が来たと。この話を聞いたのが、去年の『刑事7人』の撮影の最中でした」 ――シェイクスピア演劇をやりたいという思いはあったのですか? 「機会があればとは思っていましたけど、そんな簡単にやりたいと言えるものだと思っていなかったですし…。だから、そういう話を鋼太郎さんとさせてもらったかな。 とくにこの『ハムレット』という作品に関しては、鋼太郎さんのなかでも特別思い入れの強い作品みたいなので、『もし、ハムレットを一緒に作れるんだとしたら、本当に役者としてすごくいい機会に絶対になるから』という話はしてくれて」 ――演出家としての吉田鋼太郎さんは初めてだと思いますが、いかがですか? 「鋼太郎さんね、めちゃくちゃカッコいいんですよ。普段ドラマでご一緒している鋼太郎さんがカッコよくないと言っているわけじゃなくて、上から目線みたいな言い方になっちゃいますけど、本当に優れた演出家さんだなって。 とてもわかりやすいですし、『そういう解釈おもしろい』って思わせてくれる。やっぱりシェイクスピアって難しいものだというイメージがあって。正直言うと、僕は『ハムレット』という存在はもちろん知っていましたけど、ざっくりとしか知らなかったんです。 言っていることは、実は単純なことなんだけれども、それをものすごく遠回しに詩的に言っている。こんなふうにシェイクスピアを言っていたら鋼太郎さんに怒られるかもしれないですけど、それをすごくわかりやすく説明してくれて。 でも、すごく気の遠くなるような作業なんですね。難しい表現を1個ずつ紐解いていって…ということをするのは。本当に鋼太郎さんに出会えて良かったなって思います。今回演出を受けられて良かったなって。もうすでにビビッてはいますけど(笑)」 ――楽しみですよね。製作発表会見のときに鋼太郎さんの熱い思いが伝わってきました。 「顔合わせのときも熱弁されていました。それがすごすぎて(笑)。『刑事7人』で見ていた鋼太郎さんとは別人のようでした。熱い思いを持って、命をかけて今回臨んでいるんだなって。だからその話を聞いてすごく身の引き締まる思いになりました」 インタビューに応える真摯な姿勢がすがすがしい。『ハムレット』で演じるのは、ハムレットの親友・ホレーシオ役。誠実なイメージが重なりまさに適役という感じ。公演が待ち遠しい。(津島令子) ヘアメイク:持田洋輔 スタイリスト:Ryo Matsuda 衣装:ブルゾン・シャツ(メゾン キツネ)、パンツ(アバハウス)、靴(アルフレッド・バニスター)