女性向け農機具男性にも好評? 体格や力の差補う工夫 「誰もが使いやすい」実現
ニーズ掘り起こし
女性農業者を巡っては、農業を主な仕事とする基幹的農業従事者に占める割合が減少傾向にあることが課題となっている。同省によると、10年には44%だったが、23年では38・8%となった。同省は、女性の社会進出などが影響していると分析する。 一方、女性の意見を生かした商品開発や情報発信などに関心を持つ企業は増加。同省の農業女子プロジェクトへの参画は現在32社を数え、百貨店やアパレル、ITなど、農業関連以外からの参加も盛んだ。これまで、しゃがむ動作などがしやすい作業着や、女性が生産した農産物を使ったギフトなどを開発しており、埋もれていたニーズの掘り起こしにつなげている。 同省は「若い女性に職業の選択肢に農業を加えてもらえるよう、企業の参画促進などを通じて女性農業者の存在感を高めていきたい」と話す。
取材後記
「重くてでかい」というのが、身長150センチの私(女性)にとっての農機具全般への印象だった。農機具とはこんなものだ、使いこなせないと農家は務まらない、と思っていた。 女性農業者向けの製品改良では、結果として男女問わず幅広い層に受け入れられる好循環が生まれていた。身の回りのものが、もしかしたら男性を念頭に設計されているかもしれない、という発想が見過ごされてきていることを実感した。「男性」と一口に言っても、体格や力の強さなどには違いがあることもだ。特に農業従事者には高齢者も多い。 担い手の確保は、真っ先に取り組むべき課題の一つだ。女性をはじめ、未経験者や高齢者などの参画を広く促していくためにも、現場での多様な意見を取り入れることが欠かせない。(本田恵梨)
日本農業新聞