英首相就任が濃厚、2.5%成長をスターマー氏公約-敗北主義容認せず
(ブルームバーグ): 7月4日に投開票が行われる英下院選(定数650)で世論調査が予測する最大野党・労働党の勝利に伴い、次期首相就任が濃厚なスターマー党首は、政権奪還後の労働党政権が少なくとも2.5%の経済成長を目標にすると語った。
スターマー党首はITVとのインタビューで、「過去の労働政権の下では約2.5%の成長を実現した」と説明。同じような成長率の達成を目指すかとの質問に対し、「もちろんイエスだ」と答えた。21日に収録されたインタビューは27日に放送される。
スナク保守党政権下での最近の停滞を受け、労働党を「富を創造する政党」と印象付けたいスターマー氏は、経済成長を選挙公約の中心に掲げる一方、明確な数字をこれまで示してこなかった。イングランド銀行(英中央銀行)の一連の利上げで政策金利は16年ぶり高水準の5.25%に達し、高金利が企業や家計に重くのしかかっている。
スターマー氏は、英国の財政をどのように立て直すか詳細な説明は不要としているが、経済成長が税収を増やし収支ギャップを埋める見込みとはいえ、次期政権が現在の歳出プランを実現するには、200億ポンド(約4兆600億円)の財源を見いだす必要があるとブルームバーグ・エコノミクス(BE)は予測する。
しかし、英有力シンクタンクの財政研究所(IFS)や他のエコノミストらは、経済成長がそれほど速く救いをもたらすとは信じ難いと主張。スターマー氏は、景気の早期回復を信じない「敗北主義」は受け入れられないと反論している。
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スターマー氏は住宅建設増とインフラ拡充を図る集中的な改革プランを練っており、クリーンエネルギーの国営会社GBエナジーを設立し、温室効果ガス排出量の正味ゼロを目指す「ネットゼロ」移行も後押しする。労働者の権利改革、新たな産業戦略の策定、政府系ファンド設立も構想に含まれる。