『正体』横浜流星主演、少年死刑囚は何故、脱獄したのか
Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1220回】 シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。 【写真13枚】『正体』横浜流星主演、少年死刑囚は何故、脱獄したのか ほか 今回は、映画館にて絶賛上映中の『正体』『六人の嘘つきな大学生』をご紹介します。
『正体』あなたのそばにいる人が、脱獄した死刑囚だったら……
染井為人による傑作同名小説を、数々の話題作を手がける藤井道人監督が実写映画化した『正体』。一家3人を惨殺したことから死刑判決を受けた少年死刑囚。脱獄を図った彼の逃亡劇を描いたサスペンス・エンタテインメントです。
『正体』のあらすじ
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者、鏑木慶一が脱獄した。事件を追う刑事・又貫征吾は、日本各地を転々としながら逃走を続ける鏑木と出会った人々に取り調べを行う。 東京で編集者として働く安藤沙耶香。大阪の日雇い労働者、野々村和也。そして、長野にある介護施設に勤める酒井舞。 しかし彼らが語る“鏑木像”はまったく異なり、まるで別人のようだった。 浮かび上がってくる、鏑木慶一が持つ5つの顔。鏑木慶一は、本当に凶悪犯なのだろうか……。
『正体』のみどころ
主人公・鏑木慶一を演じたのは、2025年の大河ドラマで主演を務める横浜流星。風貌を変えながら日本各地に潜伏し、本能のままに逃亡を続ける男を体現。その野生味あふれる演技からは目が離せず、ぐいぐいと引き込まれてしまいます。 共演には吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之といった主演クラスの豪華キャストが集結。吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈は、藤井組は初参加。藤井監督とのタッグによって、どのようなケミストリーを起こしているのかにも注目です。
サスペンスフルな逃亡劇を軸に、現代社会が持つ理不尽さや矛盾が浮き彫りとなっていく本作。 それと同時に、鏑木を信じよう、信じたい……と願う人々の感情も丁寧に紡がれており、ヒューマンドラマとしても一級の作品となっています。 間一髪の逃走を繰り返す主人公の目的、そして彼が持ち続けていた“信念”に触れた瞬間、魂のいちばん大切な部分をギュッと掴まれたような感覚を覚える人も多いことでしょう。 果たして、鏑木慶一の正体とは。スクリーンで、しかと目撃して。