阿炎、亡き先代と約束…自己最重量170キロで1差追走 援軍は豚骨味の袋麺「めっちゃ食べました」【大相撲九州場所】
◇18日 大相撲九州場所9日目(福岡国際センター) 身も心もどっしり構えた平幕阿炎(30)=錣山=が、大栄翔の突き押しをこらえて逆襲に転じた。長いリーチを生かし、押し出して7勝目。過去11勝13敗という合口の悪さをはねのけ、優勝経験者同士の熱戦を制した。これで3連勝だ。 「しっかり自分の距離になって、押し返す相撲を取れたと思う。(相手が左右の)動きを警戒してくれた部分もあったけど、勝負勘で前に出る選択ができた」 約束の自己最重量ボディーのおかげで、真っ向勝負を貫けた。今場所、公称からプラス4キロの170キロまで増量。昨年12月に死去した先代師匠の錣山親方(元関脇寺尾)に、生前「目指そう」と言われていた大台に無理なく到達した。 先代から教わった体重増のポイントは腹八分目。間食を取るためだ。エネルギー補給の柱は、自分で手軽に調理できて好物でもある袋ラーメン。”エース”は生卵を落とす「日清チキンラーメン」だが、福岡入りして援軍が加わった。「うまかっちゃん。めっちゃ食べました」。西日本限定販売の豚骨味の袋麺が、増量を後押ししてくれた。 肉体面の充実は、心のゆとりにもつながっている。数日前の夜、タクシーで福岡県篠栗町の部屋宿舎に戻ると、シカの親子に遭遇した。慌てず騒がず、歩き去るまで車中で3分ほど待機。奈良や広島・宮島で「神の使い」として大事にされているシカに優しく接し、徳を積んだ。 2022年の九州場所で初優勝した30歳。1差で先頭を追う優勝争いについては「上位陣は意識するかもしれないけど、少なくとも僕は考えない」と平常心を強調した。これで三役挑戦を白星先行で乗り切った。「普段通り、一番一番に向かえば結果はついてくる」。2年前の再現へ、自信を胸に好位をひた走る。
中日スポーツ