ピムコ、利回りに「一世一代のリセット」-債券投資の黄金時代復活へ
(ブルームバーグ): 株式市場もプライベートクレジットもいったん忘れよう。「利回りに一世一代の上昇リセット」が起きて、債券が他の資産クラスをしのぐ日が来る。というのがパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の見立てだ。
「われわれが長期的に見渡せる範囲でリセッション(景気後退)がなければ、アクティブ債券投資は良好な成績を残せるだろう。リセッションがあれば、さらに成績は良くなる」とピムコのリチャード・クラリダ、アンドルー・ボールズ、ダニエル・アイバシン3氏は4日のリポートに記した。価格が上昇しインフレが後退するため、キャッシュと比較した債券の魅力はさらに高まるというのが3氏の見立てだ。
今年の債券市場はこれまでのところ、小幅な損失となっている。対照的に米株式市場の主要指数は約10%の上昇だ。米経済が予想外の粘り強さを見せているため、不意を突かれた米国債の運用担当者は多い。アイバシン氏が運用するピムコのインカムファンド(1470億ドル=22兆7700億円)では、この1年のリターンが7.8%。年初来は今のところ1.7%上昇し、同類ファンドのおよそ80%が上げた成績を上回っている。
1兆8000億ドル規模の資産を運用するピムコは、向こう3-5年の投資について、「著しい金利やクレジット、流動性のリスクを取らずに」アクティブ投資でおよそ6-7%の利回りを生み出すポートフォリオを構築可能だとしている。
ブルームバーグUSアグリゲートやグローバル・アグリゲートといった質の高い債券ベンチマークが5%以上の利回りとなっているため、今は状況が異なる。「スタート時の利回り水準から、数年先のリターンが非常に予測しやすくなっている」とリポートは指摘した。
「市場は著しい景気後退リスクを織り込んでいないようだ。つまり債券はそのリスクをヘッジする安価な手段かもしれない」と分析している。
「急速に成長しているプライベート、および変動金利市場は、過去にデフォルト(債務不履行)サイクルに試された経験がないかもしれない」と指摘し、「テクノロジーや、レバレッジが高く信用格付けの低い企業への直接融資の分野に肩入れし過ぎるリスク」が高まると警告した。