日本人女性「売春疑われた…」アメリカへの“入国拒否”相次ぐ このまま増えれば「ESTA利用国」除外の可能性も?
強制送還なら「最低5年間は入国禁止」
もし“別室”で具体的な証拠が出てきて入国拒否となった場合、強制送還されることになるが、それには2通りの方法があるという。 「まずは、入国しようとした人が『任意で帰った』という体裁にするケースです。そしてより厳しいのが、本当の意味での『強制送還』。もしそうなった場合、最低5年間はアメリカのビザを申請することさえできなくなります。つまり、最低5年間は『入国禁止』となるのです。 アメリカ旅行の際にはビザより取得が簡単なESTAを利用する方も多いですが、ESTAは入国審査時にトラブルがあった場合、その後は“生涯”使えなくなってしまいます。たとえ『任意帰国』だったとしても、ほぼ確実に利用できなくなってしまうと考えたほうがよいです」(タイタノ弁護士) なお強制送還後5年がたったとしても、前回の入国審査で“問題”とされた事由が完全に解消されたことを証明できなければ、ビザを取得できない可能性が高い。 「一度でも入国時にトラブルがあれば、アメリカへの入国が『生涯禁止』となってしまうリスクもあります。特例的にビザを出してもらえるケースもありますが、そのハードルはとてつもなく高いのが現状です」(同前)
日本人のESTA利用「不可」になる可能性も?
このまま日本人の入国拒否が続いた場合、国全体にはどのような影響がおよぶと考えられるのだろうか。 「もっとも大きな不利益として、日本人がESTAを利用できなくなる可能性があります。世界的に見れば、実はESTAを利用できる国は40カ国もなく、『96.5%以上の国民がアメリカの入管法を守っている』など一定の条件を満たした国にのみ、特例的に認められた制度なのです。また、アメリカ各地の空港で日本人への入国審査が厳しくなるということも考えられるでしょう」(タイタノ弁護士) なお、あまり知られていないが、ビザであれESTAであれ、本来は「明確な渡米目的」があることが、その取得要件のひとつとなっている。 「基本的にアメリカ渡航で『着いてから予定を決めます』というのは認められないのですが、実際の運用では黙認されているというのが現状です。 他の取得要件として、往復の航空券があること、十分な旅行資金があること等があります。 これを踏まえて、もし疑われる不安がある人は、滞在中の予定をしっかり決める、帰りの航空券があることを証明できるようにしておく、必要な旅行資金があることなど、“きちんとした旅行者”であることを明らかにできるようにしておくのも手だと思います」(同前)
弁護士JP編集部