スーパーGT第4戦で好走見せた小山美姫。クラス首位につける海外レースでも収穫多く「セットアップも任せてもらっています」
PONOS RACINGのリル・ワドゥーと共に数少ない女性ドライバーとしてスーパーGTに参戦している小山美姫(R'Qs MOTOR SPORTS)。第3戦鈴鹿では本格的なレースデビューを果たしたが、先日の第4戦富士でも出走して光る走りを見せた。 【動画】2024 スーパーGT第4戦富士:決勝ハイライト(GT300) 昨年はANEST IWATA Racing with Arnageの第3ドライバーとしてスーパーGTに参戦した小山だが、実際にレースに出走できたのは第4戦富士での雨の1スティントだけであり、出場機会は限られていた。R'Qs MOTOR SPORTSに加入した今季は明らかに出番が増えており、第3戦鈴鹿では初めて予選アタックを担当した他、決勝でもスタートドライバーの大役を任せられた。 「予選に行くことは聞いていなかったんですけど、急に『小山、予選お願い!』と言われて『え!?』と思いました」と第3戦を振り返る小山。マシンのフィーリングに不安を抱えていた中で臨んだ予選Q2ではロワー組の10台中5番手のタイム。「乗ってみると3ラップくらい連続でタイムが上がっていたので、タイヤの一発は全然使えていなかった。今与えられた環境の中でドライバーとして出来ることがあった」と悔しがる。 そして迎えた第4戦で小山はQ1を担当。ベストタイムはA組14台中10番手で、Q2アッパー組の進出ラインには0.091秒届かず、またしても悔しい予選となった。Q2ロワー組で和田久が記録したタイムとの合算で、22号車アールキューズ AMG GT3は24番グリッドからのスタートとなった。 小山は鈴鹿戦に続き決勝ファーストスティントを担当。鈴鹿ではペースが良いタイミングで前走車を抜きあぐねてしまい「その間に集団と離れてしまったのがもったいなかった」と語っていたが、今回の富士戦では次々とポジションを上げた。ライバルのトラブルによる脱落もあったが、コース上でも96号車K-tunes RC F GT3や360号車RUNUP RIVAUX GT-Rをオーバーテイクし、気付けば16番手まで浮上していた。 結局40周を超えるロングスティントをこなした小山。充実感のあるレースになったようで、自身のSNSにも「楽しかった!! R'Qs ありがとう!」と投稿している。 ■スーパートロフェオ・アジアではクラス首位で後半戦に スーパーGTでも爪痕を残しつつある小山だが、彼女はそれと並行してランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアにもアイアン・リンクスから参戦している。マレーシアのセパン、オーストラリアのザ・ベンド、韓国のインジェでの前半3ラウンドを終えたが、小山とホン・チオ・レオンのペアは混戦のプロクラスでランキング首位につけている。 実情としては、資金的な問題で相方がニュータイヤの使用を独占するような状態であり、苦労も少なくないと小山は言うが、それでも2人1組で共にレースを戦う相方のドライビングスタイルに合わせたセットアップ作りに取り組むなど、大いに収穫があるようだ。 「チームメイトとシェアして走っていますが、セットアップも任せてもらっています。弄れるところはそれほど多くないのですが、ドライバーふたりの好みも違う中で、経験を重ねるごとにお互いのアベレージも見えてきたので、相手に合わせたセットを作ったりしています」 「レース前半はガソリン満タンでタイヤの状態が良い、レース後半だとマシンが軽くてタイヤが古いという状況ですが、私は前半に乗っても後半に乗ってもレースペースが速かったです。韓国戦では少し速い方が参戦していましたが、それ以外のレースではいつも最速のペースでした」 「元々レースアベレージが良いので、今後は予選に向けたセットを作りたいという話をしていました。(同シリーズで使われる)ハンコックタイヤは一発のアタックのポテンシャルはあるのですが、そうなった(ラップタイムが上がった)時にクルマのバランスが変わってしまうので、そこに合わせたセットアップを作りたかったのですが、ニュータイヤを使えなくなったのでセットを合わせられず、自分にとっては難しい状況です」 「ただ、そういう状況を通して強くなれますし、勉強になるのでポジティブに捉えています」 こういった活躍もあって、小山はランボルギーニやアイアン・リンクスからも高い評価を得ている様子。これを足がかりに、新たなチャンスを掴むことができるか。
戎井健一郎
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