あまりにも「膨大」過ぎる「太陽」のエネルギーが「地球」にもたらすその圧倒的な「影響力」
太陽から受けるエネルギーは巨大だ
太陽は水素の塊だ。この水素がエネルギーを生みだしている。太陽の内部では、水素の原子核4個が融合して1個のヘリウム原子核になる。そのとき質量(重さ)が0・7%ほど失われる。この失われた質量がエネルギーに変換される。かのアルベルト゠アインシュタインが1905年に提唱した特殊相対性理論から導かれる「質量とエネルギーは等価である」という驚きの方程式が、まさにこれである。この反応を核融合という。 核融合では膨大なエネルギーが生まれる。質量1グラムから生まれるエネルギーは2500万キロワット時。日本の年間電力消費量は約1兆キロワット時だから、核融合を使えば、わずか40キログラムの質量で日本全体の電気を1年間まかなえることになる。 夜空に輝く星の多くは、この核融合反応で自ら光を発している。わたしたちにとって特別に身近で重要な太陽も、宇宙全体でみれば、ごくありふれた星のひとつだ。その太陽から大量のエネルギーが光として地球に届く。 太陽は四方八方に光を放出している。このうちのごく一部が地球を照らす。地球の半径は約6400キロメートル。太陽から地球を目指す光にとって、地球はこの半径をもつ円にみえる。太陽から約1億5000万キロメートル離れたこの円を照らす光のエネルギーは、1平方メートルあたり1365ワットにもなる。もしこのエネルギーをすべて電気に変えることができれば、1メートル四方を照らす太陽エネルギーだけで100ワットの電球を13個もともせるわけだ。 もっとも、この値は、太陽光をその光の向きと直角な地面が受けたとき、つまり完全に真上から太陽光を受けたと仮定したときの数字だ。実際には地球は球体だから、太陽光は真上からやってくるとはかぎらない。たいていは地面に対して斜めからやってくる。そのぶんだけ光は弱まる。朝夕の太陽が昼間の太陽より弱いのとおなじ理屈だ。そのため、地球の地面が受ける太陽エネルギーの平均は、さきほど述べた値の4分の1になる。 もうひとつ補足しておくと、実際に地面に届く太陽光のエネルギーは、これより弱い。雲で宇宙空間にはねかえされたり、大気に吸収されたりするからだ。これについては、のちほど詳しく説明しよう。