イーサリアム改善提案、スループットが50%向上する可能性
イーサリアム(Ethereum)の新たなアップグレード提案は、ネットワークのスループットを50%向上させ、ソラナ(Solana)のような速度に焦点を当てたブロックチェーンに対抗する能力を高める可能性がある。 Illyriad Gamesの共同創業者であるベン・アダムス(Ben Adams)氏によって10月5日に提案されたイーサリアム改善提案(Ethereum Improvement Proposals:EIP)は、スロットタイムを12秒から8秒に短縮し、時間とともにネットワークがより多くのトランザクションを処理できるようにするものだ。
ブロブ取り扱い能力も向上
正式には「EIP-7781」と呼ばれるこのアップグレードは、ブロックチェーンのブロブ取り扱い能力も向上させる。ブロブとは、関連レイヤー2ネットワークが取引記録を保存するために使用する専用のデータ保管空間のこと。今回の変更により、1ブロックあたりのブロブ数は6から9に増え、アービトラム(Arbitrum)やオプティミズム(Optimism)のようなレイヤー2チェーンがイーサリアムにデータをポストするためのより広いスペースを提供する。 イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスメカニズムでは、スロットはブロックを提案できる特定の時間間隔を指す。ブロックを提案するバリデータはスロットごとに選ばれ、成功すればブロックチェーンに追加される。 今回のアップグレード提案は、イーサリアムのオープンソース開発システムを通じて進行させる必要があるが、すでに一部の主要な支持者を獲得している。
ヴィタリック・ブテリン氏の提案
イーサリアム財団の研究者であるジャスティン・ドレイク(Justin Drake)氏は、ブロックタイムを8秒に短縮することで、ユニスワップ(Uniswap)のような分散型取引所(DEX)プラットフォームの効率が1.22倍になるとギットハブ(GitHub)で指摘。ドレイク氏によると、この変更はオンチェーンとオフチェーンの取引所間の価格差を縮め、ユーザーは年間最大1億ドル(約148億円、1ドル148円換算)節約できる可能性がある。 イーサリアムブロックチェーンは、他の多くのブロックチェーンと比較して、強固なセキュリティと高度な非中央集権性を持つことで称賛されている。だが、その利点は歴史的に、少なくともソラナなどの新しいブロックチェーンと比較して、相対的に高い手数料と低速という犠牲を伴ってきた。 イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は1月、ネットワーク全体のスループットを高める方法として、ブロックチェーンの「ガスリミット」(各ブロックに詰め込めるトランザクションの合計サイズ)を増やすことを提案した。 ドレイク氏によると、EIP-7781は「ガスリミット4500万、ブロブリミット9への実質的な引き上げ」に相当し、これは「pumpthegas.orgが提案するガスリミット4000万、ブテリン氏らが提案するブロブリミット8とほぼ一致する」という。