「令和〇年〇月吉日」は遺言書の書き方でよくあるミス…〈遺言書の効力が無効になるケース〉とは
誰に何をどれくらい相続させるか、相続人以外への遺贈をするか、自筆かパソコンで作成するか、遺言執行者の指定など、遺言書には検討すべきポイントが数多く存在します。本稿では、遺言書の効力や効力が無効となるケース、遺言書を見つけた際の適切な対応など、遺言書に関する押さえておくべき知識を詳しく解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
遺言書にはいくつか種類がある
遺言書には、主に3つの種類が存在します。それぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。順番に解説します。 自筆証書遺言 その名のとおり、遺言者が自筆で作成する遺言書のことです。筆記用具や用紙に指定はなく、紙とペン、印鑑さえあれば思い立ったときに作成が可能です。 基本的にすべて自書する必要がありますが、財産目録についてはパソコンでの作成も認められています。手軽に作成でき、自分で作成するため費用がかからないのがメリットです。 ただ、第三者の目がない分間違った方法で作成して無効になってしまったり、紛失してしまったり、相続人による隠蔽、変造などの可能性もあります。作成の際は正しい方法で作成し、自宅で保管せず法務局に預かってもらうことをおすすめします。 公正証書遺言 公的機関である公証役場の公証人に作成してもらう遺言書のことです。原案を考える必要はありますが、公証人に相談でき、最終的に公証人が関与して作成することになるため、ほかの形式よりも信頼性が高いです。 また、入院中で動けないという場合でも、公証人が病院まで出向いてくれるため、作成を諦める必要がありません。 手数料や手間、日数などはかかりますが、内容の改ざんや変造の危険性が低く、そのまま公証役場で保管してもらえる点も考慮するとメリットのほうが多いでしょう。なお、手数料は遺言の目的である相続財産の価額によって異なります。 秘密証書遺言 遺言内容を秘密にできるのが特徴の遺言書です。全国で年間100件程度と、あまり利用されることのない遺言方法ですが、内容を見られるのは本人、公証人、証人のみになるため、遺言書の中身を誰にも知られることなく作成できます。 遺言者本人が作成し封入するため、自筆証書遺言のように遺言者が記載したものかどうかの確認が不要で、偽造や改ざんを防げるのがメリットです。自筆証書遺言とは違い、パソコンでの作成も可能です。 ただ、手間がかかる、記載に不備があると無効になるなどのデメリットもあります。また、公正証書遺言よりは低コストで作成できますが、手数料が1万1,000円かかります。