日銀追加利上げのハードルさらに上昇か、世界で緩和強化の流れ
(ブルームバーグ): 多くの先進国で一段と積極的な金融緩和が実施されるとの見方を受け、利下げではなく利上げを検討している日本銀行が今後、一層際立つ恐れがある。
イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は利下げのアプローチで「もう少し活動的に」なることが可能だと述べたと、3日報じられた。欧州中央銀行(ECB)による一段と積極的な利下げの道筋が市場で予想される中、ユーロは4月以来最長の下落に向かう方向だ。カナダとスウェーデンの弱い経済データを受け、両国の市場でも追加緩和の観測が高まっている。
日本国外における「より急速な緩和への強化は日銀が慎重にならざるを得ない」ことを意味すると、エバコアISIのクリシュナ・グーハ氏らアナリストは3日のリポートで指摘。「他国・地域が利下げペースを加速している際に利上げに動くことは一段と困難になるだろう」との見方を示した。
ワイルドカードは米金融当局だ。先月には通常よりも大幅な0.5ポイントの利下げで正常化サイクルを開始したが、11月はそれよりも小幅な動きになると現時点で考えられる。
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8月初めに発表された米雇用統計は予想外に低調で、米金融当局がより強力な動きに出るとの観測が広がった。その直前には日銀が追加利上げに動いていたことも重なって、日本株は記録的な急落となり、世界中に下げが波及した。
世界的な金融緩和の流れの中で日銀が追加引き締めに動く影響への懸念が、今週再び示された。石破茂新首相は植田和男日銀総裁との会談後に、追加の利上げをするような環境だとは考えていないと述べ、日銀に対する政策指示とも受け取れる異例の発言を行った。
「現在、追加利上げするような環境にない」と石破首相-日銀と連携確認
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の木村太郎シニアエコノミストは「一層の緩和縮小の前には米経済のソフトランディング(軟着陸)を日銀が確認する必要がある」というのが日本政府・日銀の現在のメッセージだと指摘した。