「ミスパーフェクト」がお手本の不動のエース坂本花織、全日本4連覇も悔しくて拳握る
フィギュアスケート・全日本選手権最終日(22日・大阪東和薬品ラクタブドーム)――女子フリーは、ショートプログラム(SP)首位の坂本花織(シスメックス)が149・76点で1位となり、合計228・68点で4年連続5度目の優勝を果たした。4連覇は2014~17年の宮原知子さん以来。SP2位で16歳の島田麻央(木下グループ)が、合計219・00点で2位。SP4位の樋口新葉(わかば)(ノエビア)が3位に入った。4位は千葉百音(もね)(木下アカデミー)、5位は松生(まついけ)理乃(中京大)。ペアは三浦璃来(りく)、木原龍一組(木下グループ)が5年ぶり2度目の優勝。アイスダンスは吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)が初制覇した。 【写真】今とは雰囲気が全く違う…連覇がスタートした21年大会の坂本花織
坂本は演技後、左拳を力強く握った。「ガッツポーズではない」。悔しさの表れだった。
得点源である後半の3回転の連続ジャンプは、最初の着氷が乱れて後ろが2回転になってしまったためだ。それでも、滑りのうまさや表現面を評価するプログラム構成点はただ一人、70点を超える貫禄の滑り。宮原知子さん以来の4連覇で、女王の座を守り抜いた。
宮原さんから得た、大事な教訓がある。グランプリ(GP)シリーズで初めて表彰台に上がった2017年のスケートアメリカで、優勝した先輩に衝撃を受けた。「この人、ずっと跳んでる。どれだけタフなんだ」。細部まで妥協せず何度も曲をかけて練習を続ける姿を、初めて目の当たりにした。「あれが日本のエース、『ミスパーフェクト』の練習。あれぐらいやらないとダメだとわかった」
宮原さんの記録に並んだ今大会中、坂本は課題の3回転フリップの成功率を上げるコツを見つけたという。不動のエースとなっても貪欲に成長を続けている。26年五輪には強豪ロシア勢が復帰してくる見込みで、「わくわくする。楽しみ」。競技と真摯(しんし)に向き合い、強気で試合に挑む源は、偉大な先輩の姿にある。(岡田浩幸)