廃棄の綿くず、封筒に再生 今治タオルの染色組合開発
愛媛県今治市の特産品今治タオルで、染色加工を手がける企業でつくる県繊維染色工業組合が、製造過程で出た綿くずを原料に使い封筒を開発した。廃棄物の有効活用を模索した組合が、高知県の製紙会社などと連携。組合の平塚竜二営業部長(56)は「地場産業から生まれたリサイクル品を広めたい」と意気込む。(共同通信=松田大樹) 染色を手がける組合傘下の企業は7社。綿くずは糸を釜に入れて染料を染み込ませたり、乾燥させたりする際に発生する。組合によると各社の1日当たりの排出量は10~20キロに上るという。 廃棄には費用がかかるため、5年ほど前から再利用できないか本格的に検討を開始。高知県立紙産業技術センターの協力を得て、綿くずを解きほぐしてできる和紙が商品化の候補に浮上した。 「綿くずを原料に紙を製造するのは高い技術が求められる」と平塚さん。技術センターとともに和紙作りを担う会社を探す中、機械すき和紙製造などを手がける森製紙(高知県日高村)が快諾した。
同社の森勇人専務(54)は「一口に綿くずと言ってもふわふわだったり、どろっとしていたり質感はさまざま」と話す。どのように配合すれば強度や耐久性が高まるか試作し、センターで分析を重ねた。 昨年11月に完成した和紙は商品化できる水準に達し、封筒として販売を開始。色とりどりの綿くずからできており、一つずつ違った色合いが楽しめる。 当面は法人向けの販売が中心。平塚さんは「学校などで使ってもらい、子どもたちにリサイクルへの関心を高めてほしい」と、封筒以外の紙製品のアイデアを募ることも検討している。