決めていますか?避難の基準 大雨災害から自分と大切な人を守る『心配性バイアス』とは
「赤いね。近くに江津湖があるけんかな?」(10代) 「だけど、危険感じたことないから実感もわかないし、わからない」(10代) 全国で頻発する豪雨災害を「自分の身に起こるかもしれない」と考えて避難に繋げることは、心理学の分野から防災を考える“防災心理学”の観点でも簡単ではなさそうです。 防災心理学が専門 京都大学 矢守克也 教授「人は常に今やっていることをそのまま続けることが一番快適。快適な家から離れて避難する場合、相当大きな力で背中を押されないと、避難というアクションに移れないのが普通」 では、どうすれば私たちは『逃げるスイッチ』をオンにできるのでしょうか。 ■3つの『逃げるスイッチ』 矢守教授は、『逃げるスイッチ』を1つだけではなく3つ持っておくべきだと話します。 (1)「情報」 自治体や気象台、ネットなどから得られる様々な情報を集める。 (2)「身の回りの異変」 河川の様子や雨の音など異変に気付けるかが大切。 (3)「他者の行動」 周りが声をかけたり、実際に避難している姿を見たりすることも大きなスイッチになる。 矢守教授は「情報だけに頼っていると、スマホがダウンした途端に判断する力がなくなってしまう」といいます。1つのスイッチだけに頼らず3つのスイッチを持っておくことで、適切な避難行動に繋がるということです。 ■「それほどないリスク」も意識する 矢守教授は避難を自分事として捉えるために『心配性(しんぱいしょう)バイアス』という言葉を提唱しています。異常が発生した時に正常の範囲内と思ってしまう心理学用語「正常性バイアス(例:火災報知機が鳴る→誤作動かな?)」とは逆の心理状態のことです。 人間は正常性バイアスだけでなく、この『心配性バイアス』に陥ることもあると言います。 例えば「わが子が知らない人について行ってしまって誘拐されてしまうのではないか」「高齢の親が転倒して大けがをするのではないか」など、確率的に言えばそれほどないリスクを非常に心配するという経験はありませんか?