大学入学者の15%は「総合型選抜」 増加の要因は“尖った人材の確保”だけではない? 調査で見えた「メリット」と「課題」
大学受験の「総合型選抜」について文部科学省が制度導入の効果や課題について調査結果を発表した。 【映像】かつてのAO入試=総合型選抜 なぜここまで増えた? 一般選抜や学校推薦型選抜と並び、今ではすっかりおなじみとなった総合型選抜。かつてはAO入試と呼ばれ、2021年度入試から名称変更と共に学力評価が義務付けられた。 志願者の能力、意欲、適性などを多面的・総合的に評価し、大学が求める学生像に当てはまる入学者を集めることがポイントで、志望理由書や面接など、学力以外の要素からも受験生をみていく入試制度。 現在、大学全体の85.6%で導入され、2023年度の大学入学者のおよそ15%を総合型選抜利用者が占めている。
■総合選抜なら「尖った人材」も見つけ出せる?
文科省はこの総合型選抜に関する調査研究報告書を発表。制度導入の効果や、各大学が抱える課題について調査を行った。 教育理念に適った入学者を選抜することができたと回答した大学は「大変当てはまる」「やや当てはまる」を合わせると80.9%。制度導入を迷っている大学に対する推奨度では、半数以上の大学が推奨すると回答している。 一方で、「他の選抜方法より評価する観点の設計が難しい」「費用や時間の負担が大きい」といった導入への課題も多く挙がる結果となっている。 総合型選抜の効果については「多面的・総合的に評価する選抜を実施できた」「学力検査を重視した入試では選抜できない資質を持つ入学者を選抜できた」などがある。 例えば、筑波大学では日本中を探すと2~3人程度はいるかもしれない「オンリーワンを有する学生」を選抜するための入試方法として設計。「課題発見解決能力」を重視し、入学定員全体の5%以下で行う入試としている。 九州工業大学は、他の選抜に比べると工学適性よりもコミュニケーション能力の主体性という学内の多様性を維持するための選抜となるため、主眼が学力ではないとしている。 文科省の発表によると「学ぶ人材の多様性を担保」するため、尖った人材、伸びしろ(本質を捉える能力)を感じられる人材、共に学ぶ学生をリードしてより一層の高みを目指すリーダーシップ力、コミュニケーション力を有する人材などに着目した選抜を展開しており、学生や就職先企業など関係者からの満足度が高いという事例報告もあるという。