バルト海で海底通信ケーブル相次ぎ断線…独「破壊工作」指摘、NATOが警戒強化
【ロンドン=蒔田一彦、ベルリン=工藤彩香】英BBCなどによると、北欧と欧州大陸を結ぶ2本の海底通信ケーブルが17日から18日にかけて相次いで断線した。関係各国は破壊工作の可能性も含めて原因を調査している。バルト海で近年、海底インフラ(社会基盤)の損傷判明が続いており、北大西洋条約機構(NATO)などが警戒を強めている。 【地図】全長218キロにもなるバルト海の海底ケーブル
断線したのは、フィンランドとドイツを結ぶ全長1170キロ・メートルのケーブルと、スウェーデンのゴットランド島とリトアニアを結ぶ全長218キロ・メートルのケーブル。2本は海底で交差しているが、断線した地点は離れているとみられる。
リトアニアで一時、通信容量が減少したものの、ほかのルートを通るケーブルもあるため、各国の通信への影響は軽微だった。
ドイツとフィンランドの外相は18日の共同声明で、「重大な懸念」を示し、「意図的な損傷の疑いがある」と指摘した。ボリス・ピストリウス独国防相は19日、訪問先のブリュッセルで記者団に対し、「破壊工作と想定せざるをえない」と指摘した。ピストリウス氏は「誰がやったのかは不明だ」としつつ、意図的な行為だとの見方を強調した。
スウェーデンとリトアニアの国防相も19日、共同声明を出し、「このような状況は近隣諸国におけるロシアの脅威の高まりを背景に評価されなければならない」と警戒感をあらわにした。
バルト海では2022年9月、ロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルトストリーム」で爆発によるガス漏れが起きた。ロシアの侵略を受けるウクライナの関与が指摘されている。23年10月にはフィンランドとエストニア間の海底ガスパイプラインと通信ケーブルが損傷し、中国船籍のコンテナ船のいかりが原因だとみられている。