欧州の金融機関、トランプ政権2期目での競争激化に備え
[ロンドン 8日 ロイター] - トランプ前米大統領の2期目就任後に金融規制が緩和されるとみられる中、米国の金融機関に収益力で遅れを取る欧州の銀行はさらに厳しい課題に直面している。 ユーロ圏と英国の銀行は2008─09年の世界金融危機以来、低調な収益性や景気低迷に苦しんできた。一方、米国の競合は評価額を高め、投資銀行業務などで市場シェアを奪っている。 2010年始め以来、欧州の銀行株は約10%下落しているのに対し、米国の銀行株は3倍以上となっている。 欧州の一部の銀行は今年、失地回復の兆しを見せ始めていた。今週まで、欧州の銀行株は米国のダウ銀行株指数より好調で、米国で国際的な銀行資本規制「バーゼル3」の一部が採用され、競争条件の平準化につながるという期待が高まっていた。 しかし、トランプ氏の返り咲きが決まり、状況は一変。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーの株価は急伸。一方、STOXX欧州600種銀行株指数は今週1%以上下げている。 欧州を基盤とする金融関係者は「米国の規制緩和と減税への期待は、欧州の厳しい監督と金利低下に伴う苦境とは対照的だ」との見方を示した。 欧州ではトランプ氏2期目に備えた兆候がみられる。スイスのケラーズッター財務相は、英国のリーブス財務相と米国の銀行規制の見通しについて協議したことを明らかにした。 ケラーズッター氏はロイターに対し「米国では規制緩和の波が押し寄せるとあらかじめ言われていた」とした上で、競争力と安定性のバランスを取ることが重要だという点で両財務相が同意したと言及した。 ある銀行幹部はロイターに、米国での規制緩和の波を受け、欧州でも規制緩和を求めるロビー活動の機運が高まるだろうと語った。