スバル「レオーネ4WDセダン」が採用した世界初の乗用車4WDシステムの特徴とは?【歴史に残るクルマと技術040】
レオーネのパートタイムから始まり主流はフルタイム4WDへ
レオーネ4WDセダンのパートタイム4WDは、レバー操作によってロードのような平常時に2WD(FF)で走行し、滑りやすい路面のときだけトランスファーによって4WDに切り替える。 2WDと4WDを切替えるためのレバー操作が必要だが、レバー操作で走破性の高いオフロードカーに変貌するという意味では非常に利便性の高い機構であり、当時はそれを乗用車に装備したことに大きな意味があり、高い評価を受けた。 ただし、このタイプはセンターデフを持たないので、4WDで乾いた舗装路、特にコーナリング時に前後タイヤの回転差を吸収できず、いわゆるタイトコーナーブレーキング現象を起こすことが課題だった。これを解決したのが、1980年代に登場したアウディ「クアトロ」が採用したセンターデフ式のフルタイム4WDで、切替え操作不要で舗装路でも4WD走行が可能になったのだ。 スバルも、1986年には、「レオーネクーペRX-II」でフルタイム4WDを採用し、その後各メーカーからもロードカー用の様々なタイプのフルタイム4WDシステムが登場している。
スバルのコア技術であるシンメトリカルAWDの魅力
レオーネ4WDセダンは、現在のスバルのコア技術である“シンメトリカルAWD(水平対向エンジン+AWD(4WD))”を初めて乗用車で採用した記念すべきモデルである。 “シンメトリカル”とは対称なという意味で、低重心の水平対向エンジンを縦置きにすることで、パワートレインが一直線、縦方向に左右対称に配置できるのが最大の特徴。これにより、次のようなメリットが得られる。 ・優れた悪路走破性と高速安定性 シンメトリカルAWDでは、4輪にバランスよく荷重がかかるため、車体が揺れにくく、安定したタイヤ接地性を確保。これにより、4輪駆動のポテンシャルを最大限に発揮でき、ダートや雪路など悪路での高い走破性、さらに雨天時や高速道路でも安定した走りができる。 ・軽快なハンドリング性能 エンジンが縦置きなので、重量のあるトランスミッションが車体の重心近くに配置。これにより慣性モーメントが小さくなるため、車体が振られることが少なく、コーナリング時やブレーキ時に軽快なハンドリングが楽しめる。 以上のような優れた運動性能により、シンメトリカルAWDは走り好きの多くのスバリストたちを魅了しているのだ。