いつの間に複数のことが考えられなくなった大藪春彦賞作家…それでも頭に文章が浮かんでくる小説家としての癖(へき)【「鶯谷」第十九話#1】
---------- 出版不況の波に揉まれ、生活もままならない作家の赤松利市氏。最近は頭が混乱することも多くなった。しかし、小説家としてのポジションを諦めることはできない。当たり前だ。 ---------- 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる!
宅急便と宅配便
体重が激減した。 特にダイエットを心掛けているわけではない。 食慾が沸かないのだ。 半年前に比べると20キロ近く落ちている。 以前は、吉野家さんとか松屋さんで大盛ご飯を食べるのが当たり前だった。 ちなみにどうでもいいことであるが、吉野家さんでは牛丼と呼称し、松屋さんでは牛めしと呼称する。 宅急便と宅配便の違いであろうか? 宅急便はクロネコヤマトさんが商標登録している用語であり、その他の小口運送会社は宅配便という用語を使っている。 いまではどちらの運送会社に限らず、一般の人には宅急便という呼称が浸透しているようであるが。 そんなことより私の食慾問題である。 以前は大盛ご飯が当たり前であったが、実のところかなり無理をした選択だった。 私は基本一日二食だ。 執筆中は食事をしない。 執筆を中断したくないからであり、空腹も覚えない。 必然として執筆後にはかなりの空腹を覚える。 遅めの朝食(あるいは早めの夕食)には大量のご飯を食べる。
睡眠薬と導入剤
その反動で、翌朝の朝食が寝起きにすぐは食べられない。 生活サイクルを改善しようと思い立った。 朝食をメインにしようと考えたのだ。 まずは執筆後の食事を抑えた。 空腹は覚えるが、それで眠れないということはない。 毎月通う循環器内科で睡眠薬と、導入剤、安定剤を処方してもらっている。 これらを一時に服用すると簡単に寝込んでしまう。 このうち睡眠薬がなかなかの曲者で、青色の錠剤は別名『レイプドラッグ』とも呼ばれている。 悪意を持った男性が、飲み物に混入するとそれを飲んだ女性は、たちまち昏睡してしまうからである。 私は処方通りにしか服用しないが、それでも翌朝の寝起きにはかなり難儀する。 三種を一度に服用することはできるだけ控えている。 医師にも相談した。 「これを全部服用するのは好ましくないですよね?」 「そうですね。できれば症状に応じて使い分けたほうがいいですね」 でもね、と続けた。 「まったく眠れないより、眠れた方が体にいいでしょ。ですから様子を見ながら使い分けて下さいね」 答えになっていないと感じた。
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