『ターミネーター2』『タイタニック』『アバター』 キャメロン作品で“強く、たくましい”女性像が描かれ続けるワケ。その裏には、プライベートでは4度の離婚経験が…
離婚時に利益200億円を等分
しかし『タイタニック』の長い撮影中、キャメロンは出演者の一人スージー・エイミスと恋に落ちた。 エイミスは老いたヒロイン、ローズの孫娘役だが、サングラスにボマージャケットという、キャサリン・ビグロー、または『T2』のリンダ・ハミルトンのコスプレみたいな衣装で登場する。 リンダ・ハミルトンは2人の関係を知ってキャメロンに正式な結婚を迫り、97年7月に入籍したが98年12月に2人は離婚。 『タイタニック』でキャメロンが得た利益は200億円といわれるが、カリフォルニアの法律では離婚時に夫婦は財産を等分しなければならないので、リンダ・ハミルトンは100億円を受け取ったと推定される。 キャメロンはスージー・エイミスと2000年に結婚してから3児をもうけた。 2009年、キャメロンが作り上げた『アバター』はパンドラという異星の原住民と侵略者である地球人との戦争を描くスペクタクルだが、キャメロン的女性ヒーローの総決算だった。 『エイリアン2』のシガニー・ウィーヴァー扮する女性科学者、『エイリアン2』のヴァスケスの役柄を引き継いだ元海兵隊員(ミッシェル・ロドリゲス)、それに異星の戦うお姫様ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)。 しかもクライマックスでネイティリが主人公の男性を抱くポーズがミケランジェロのピエタそっくり。キャメロンの聖母コンプレックスは重症のようだ。 2010年、キャメロンは『アバター』でキャスリン・ビグロー監督『ハート・ロッカー』とアカデミー作品賞と監督賞を争った。そして女性初のオスカー受賞監督になった元妻をキャメロンは祝福した。 2017年、キャメロンは『ターミネーター』続編の製作を発表した。サラ・コナー役はリンダ・ハミルトンだ。 文/町山智浩
---------- 町山智浩(まちやま ともひろ) 1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。宝島社社員を経て、洋泉社にて『映画秘宝』を創刊。現在カリフォルニア州バークレーに在住。映画評論の著作に『映画の見方がわかる本』『トラウマ映画館』『トラウマ恋愛映画入門』など。アメリカについてのエッセイ集に『底抜け合衆国』『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』などがある。 ----------
町山智浩