二宮和也、朝ドラ『あんぱん』出演は今だからできる挑戦 昭和の“生活者”を体現する人間力
NHK連続テレビ小説『あんぱん』に二宮和也が出演することが発表された。同作は、国民的作品『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルとした物語。二宮は、北村匠海演じる柳井嵩の父親役を演じる。 【写真】柳井嵩(北村匠海)の父親役を演じる二宮和也 著書に『ネットと朝ドラ』(blueprint)、『みんなの朝ドラ』(講談社新書)を持つライターの木俣冬氏は、二宮の起用を「“ついに来たか”という感じ」と評し、その演技力や存在感に期待を寄せる。 「SNSの反応を見ていると、二宮さんの朝ドラ出演を意外に思われる方も多いようですが、実は相性がいいのではないかと思っていました。二宮さんは山田洋次監督や倉本聰さん、蜷川幸雄さん、クリント・イーストウッド監督にも気に入られていて、年配の知的な男性に好かれるイメージがあります。そういった点でも、シニア層の視聴者も多い朝ドラには向いているんじゃないかと思っていたんです」 木俣氏は、二宮が年配の監督から重宝される理由を「昭和の生真面目に生きた人間、“生活者”を再現できる俳優だからなのではないか」と分析する。 「二宮さんが出演した『硫黄島からの手紙』や『母と暮らせば』は、第二次世界大戦を題材とした作品です。戦争体験者である監督たちから見ても、二宮さんが“平成のアイドル”ではなく、“戦時中の若者”としての説得力を持っているからこそ起用したのだと思います。『アンパンマン』の作者であるやなせたかしさんも、戦争体験が創作と大きく結びついている作家さんですし、二宮さんがそんなやなせさんをモデルとした嵩の父親役を演じるというのは、とても良いのではないかという気がします。文化や芸術への造詣が深い人物という設定だと聞いていますが、そういった役柄にもフィットすると思います。また、二宮さんは主演を務めてもおかしくないのに、あえてお父さん役というところも興味深いですね。どういう出方をするのか、常に回想シーンで出てくるのか、その辺も面白い見せ方をしてくれるのではないかと期待しています」 また、木俣氏は今回の朝ドラ出演が決まった背景として、二宮のキャリアも大きく関係しているのではないかと言う。 「嵐としての活動があったからこそ、これまで朝ドラに出るという選択肢はなかったのではないかと思います。グループ活動を休止した今、本作のようにいろいろな作品に挑戦する機会が増えたのではないでしょうか。例えば、松本潤さんが今NODA・MAP『正三角関係』で座長をされています。推測でしかありませんが、嵐時代にはスケジュール的にも制約があり、拘束時間の長い舞台のお仕事はなかなかできなかったと思うのです。それが今はより自由に、好きなことができるようになったのではないでしょうか。二宮さんの朝ドラ出演も、そういった文脈で捉えられるかもしれません。もちろん嵐の活動の復活も願いつつ、今はこれまでなかなか手が回らなかったことをやられるのも悪くない気がして見ています」