【つばさの党代表ら逮捕】元検事は『国家権力はできるだけ政治・選挙に介入しないのが原則』でも『摘発やろうと思えばできる』と解説 公職選挙法改正の議論もある中、現行法で逮捕
衆議院東京15区の補欠選挙で他の陣営を妨害したとして、政治団体「つばさの党」の代表者ら3人が公職選挙法違反の疑いで警視庁に逮捕されました。 【画像を見る】大音量の選挙演説をした政治団体代表の主張と演説の真意は?その人物像を見る 選挙妨害をめぐって、国会の中では罰則を厳しくするなど法改正で対応すべきとの声も上がっていた中で、現行法での逮捕となりました。元大阪地検の検事である亀井正貴弁護士は、前提として、『国家権力はできるだけ政治・選挙に介入しないのが原則』としつつ、現行法でも『本気で摘発やろうと思えばできる』とその運用のあり方を解説。自身の見解として「法改正は劇薬」と述べています。(2024年4月30日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
――公職選挙法では、交通や集会を妨げ、演説を妨害したり、ポスターに落書きしたり、破る行為などを、自由な選挙を妨害する行為として禁じ、違反した場合は4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金としています。 (元大阪地検検事 亀井正貴弁護士)今回が妨害かと言ったら妨害だと思うんですが、ただこれは犯罪なのか、公職選挙法の中の妨害という犯罪に該当するかという観点からすると、単なる妨害では駄目です。妨害だからと言ってすぐ排除したら、表現の自由とか、政治活動の自由はかなり規制されます。国家権力はできるだけ政治活動や選挙活動には介入しないというのが原則で、捜査機関もそういうふうに思っています。
(元大阪地検検事 亀井正貴弁護士)そういう観点からしたら、選挙の演説を妨害するというのが、いわゆる犯罪の要件ですけれども、その場合は単純な妨害ではなくて演説ができなくなる。もしくは、聴衆が演説を聞こえなくなる。つまり「音」ですね。それから「時間」を考えて、演説そのものができなくなる、聴衆が聞こえなくなる、それぐらいまでに達するかどうかということですから、犯罪の成否を判断するのは非常に微妙で難しいところがあります。
「捜査機関が本気で摘発をやろうと思えばできる」
――東京15区補選の選挙戦では、ほかの候補者は演説を取りやめたりすることも起きています。それはどう捉えたらいいでしょう。 (元大阪地検検事 亀井正貴弁護士)それは、犯罪に達しないけれどもやはり邪魔になったからやめたということであって、犯罪に達するかどうかは別です。例えばすごい音量で、拡声器でマイク近くでワーッてやって、これを30分間やったら、おそらく威力業務妨害容疑で検挙して、選挙の自由妨害というのは後でやるんですね。