【バレー】全国準優勝2度の東山高vs.強力ダブルエースを擁する洛南高 男子決勝は全国屈指のハイレベルな戦いに【京都府春高予選(男子)】
そして、この春高府予選では梶田をセッターに起用し、ミドルブロッカーには全国中学選抜に選ばれた身長192㎝のルーキー齋藤航を投入。選手も監督も挑戦し続け、いよいよライバルとの決戦を迎える。国体を終え、エースの尾藤はその思いを口にしていた。 「僕たちの代は東山高しか春高に出ていません。洛南高からすれば、最後の大会ということで、今まで以上に熱意をぶつけてきて、すごくきつい試合になると思います。でも、もう1回日本一を狙うチャンスをつかめるようにしたい」 洛南高だけではない。東山高にも負けられない理由がある。
洛南高 ダブルエースは全国屈指の破壊力
今から4ヵ月前、洛南高は大一番に向けた予行演習を終えた。7月の近畿大会。東山高は準決勝で敗れ、熱望していた再戦はかなわなかったが、決勝の舞台は春高府予選決勝と同じ特設コートだった。昇陽高にストレート負けを喫したものの、エースの中上烈は悲観していなかった。 「決勝で負けたのは悔しいですが、春高予選の決勝と似た状況だと思うので。勝ち負け関係なく、こういったコートで練習ができたのは、いい経験になったと思います」 同大会でアウトサイドヒッターとしてコートに立ったのは、1年生時からエースを務める中上と、高校3年間で左すねの疲労骨折を5度繰り返し、今季から本格的に公式戦デビューした草野叶嶺。ともに最高到達点340㎝を超える全国屈指の2枚看板だ。高いポテンシャルを秘める草野には、中上も大きな信頼を寄せる。 「(ブロックの)上から打つことに関しては、(草野)叶嶺さんは全国トップレベル。調子が上がれば誰も止められなくて、チームとしてはとても大きな存在です」
その両エースを生かすためにも、シーズン前半で浮き彫りになった課題はディフェンスだった。インターハイ府予選決勝(対東山高)では、第1セットを8-4とリードしながらも、サーブで崩され逆転負け。近畿大会の決勝でも、その課題を再認識した。オポジットの岸岡脩人キャプテンは言う。 「1、2本目の精度を上げたら、3本目には確実に決められるエースが2人いるので。そこにつなげるかどうかで、春高に行けるかどうかは決まってくる。秋までにもっと精度を上げて、東山に勝ちたいです」 夏場にはインターハイを制した直後の駿台学園高(東京)、さらに全日本インカレで頂点を目指す関東の強豪大学などと練習試合。10月には、草野、中上、酒井星英がデサント主催の「ベストアタッカーアカデミー」に参加し、石川祐希(ミラノ〔イタリア〕)から直接指導を受けた。大舞台には立てずとも、かけがえのない時間を過ごしてきた。 12日の府予選では、サーブ、そして前衛後衛問わないスパイクで得点を量産した両エースはもちろん、機動力のあるサウスポー岸岡キャプテンも要所で得点を決めた。課題だった守りでは、リベロ角田空翔が何度も好レシーブを見せ、スパイカー陣を生かした。大塚達宣(パナソニック)らを擁し、日本一に輝いた2018年度以来の春高へ。し烈な予選を勝ち抜けば、一気に全国上位へ駆け上がる力を秘めている。 文・写真/田中風太(編集部)
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