眞栄田郷敦「この役が好きすぎた」と語る 高橋文哉&板垣李光人も共感「エネルギーを感じてほしい」
眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人という今をときめく若手実力派俳優たちが共演した映画『ブルーピリオド』。本作は、山口つばさ原作による大人気コミックの実写映画化となるが、眞栄田演じる主人公・矢口八虎が、1枚の絵との出会いがきっかけで、人生を大きく変える決断をし、高橋演じるユカちゃん、板垣扮する世田介らとの交流を経て、大きな目標に向かっていく姿を描く。漠然とした未来に向かって、悩み葛藤しながらも、自らの強い思いで突き進んでいく高校生たちをみずみずしく演じ切った眞栄田、高橋、板垣が撮影を通じて感じたことなどを語り合った。
■若者の葛藤を描いた本作を通して伝えたいこと
――それぞれが演じた役へのアプローチ方法を教えてください。 眞栄田:台本を読んだとき、八虎は自分と重なる部分が多かったので、あえて原作は読まなかったんです。一人の人間として表面的なことにとらわれず、しっかりと深掘りしていこうと思いました。 高橋:まず、ユカちゃんを僕に任せていただけたことがとてもありがたかったです。製作陣のみなさまの期待と信頼を僕自身しっかりと自覚して責任を持って演じなければいけないという思いでした。(メイクやファッションなど)物理的な役作りも多かったのですが、気持ち的にもわかりやすいキャラクターはないので、自分がユカちゃんを愛して、理解することを心掛けました。 板垣:僕は原作を読んで、映画で描かれていない世田介も加味したうえで、10代の青年が抱く葛藤や嫉妬の感情を丁寧に演じようと思っていました。原作で描かれる世田介は、絵を描く姿勢も特徴的だったので、活かせる部分は活かしたいなと思いました。原作を踏襲しつつ、生身の人間が演じる良さやリアリティを意識しました。 ――絵を描くシーンが印象的な作品ですが、みなさんで合同練習をしたそうですね。 高橋:個々で練習をする中、キャストみんなで集まって、ヘアメイクなどもしっかりした上で合同練習の時間を設けていただきました。役をイメージしながら、みんなが同じ方向を向くための準備として最高の環境でした。 板垣:10代に戻った感覚になりました(笑)。 眞栄田:普段味わえない緊張感だったよね。 板垣:先生がいて生徒がいて……学生時代にタイムスリップした感覚でしたね。 ――他の人の絵を見て感じたことはありますか? 眞栄田:技術はもちろんなのですが、個性がすごいなと。同じものを見て描いているのに、こうも違うんだと。発見の多い時間でした。 ――役を通してどんなことを伝えたいですか? 眞栄田:自分がやると決めたことを貫くことって、何かを犠牲にしなければできないことも多いので、僕は八虎を演じていて、苦しい瞬間も多かったんです。でもその先にある未来を思い描いて、結果が出たときの喜びは大きいですよね。何かを本気で取り組んだことによって、周囲の人間関係も変わっていくじゃないですか。いまそういう状況にいる人は作品からきっとパワーをもらえると思うんです。 高橋:僕が演じたユカちゃんは「好きに葛藤する」と人物紹介で書かれているのですが、“好き”という言葉を脳裏に置きながらも、“好き”にはいろいろな種類があるわけで…。心が揺れ動く人物を作品のなかで描いてきたつもりです。自分が正解だと思うものを、まっすぐ追求するエネルギーを感じ取ってもらえたらうれしいです。 板垣:数学みたいに正解があるものなら結果はわかりやすいですが、芸術や芝居など、はっきりと正解がないものに対して、何をよりどころに生きていくかというと、やっぱり自分自身だと思うんです。壁にぶつかったとき、自分はどういう判断をするか、エネルギーをどこに向けるか…世田介のテーマでもあるなと。10代って特に怒りや衝動をどううまく逃がすかが重要だと思うので、考えるきっかけになったらいいなと思いました。