忘れられない昭和の殺人事件 理解できていないまま犯人役を演じ今も心にくすぶる後悔、15年前の自分に「復讐」できるのか
15年くらい前のことであるが、この後悔は今でも心の奥でくすぶっている。
そして今年の夏、また人を殺してしまう役を演じる予定だ。15年前の自分に「復讐」できればいいのだが、いまだに人が人を殺す決意をする瞬間のエネルギーと、その裏にある狂気や闇を、十分には理解していない。
被害者には不謹慎だと分かっているが、その瞬間の人間の顔を想像してしまう。
冬空の下、男が猟銃を持って銀行の入り口を潜る瞬間、彼はどんな表情をしていたのだろうか。焼き肉店経営者夫妻への殺意を固めたとき、容疑者たちはどんな顔をしていたのだろうか。
■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画「首都高速トライアル」で俳優デビュー。90年には「スプラッシュ」で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。NHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」セミレギュラー。
29日~7月7日、東京・俳優座劇場で上演の「帰って来た蛍~永遠の言の葉~」に出演。7月19~21日には東京・浅草公会堂で上演の松井誠PRODUCE公演「月夜の一文銭」に出演。