【学生長距離Close-upインタビュー】存在感を高めている創価大・小池莉希「主要区間をしっかり走って活躍したい」
三大駅伝フル出場、「3本まとめるのが難しい」
小学生の頃、マラソン大会で走るのが速かった小池は、長野・高陵中の部活動で本格的に陸上を始めた。高校は「強くなりたい」という思いから名門の佐久長聖に進んだが、6年間を通して、個人種目でも駅伝でも全国の舞台に立った経験はない。ただ、「佐久長聖の3年間があったからこそ、今、このレベルまで来ている」と確信している。 「厳しい寮生活を経験したこともありますが、それ以上に顧問の高見澤勝先生と市村一訓コーチが手厚い指導だけでなく、走る以外の補強や生活の細かい部分を重視して見てくれました。それが大学に来てからも生かされています」 補欠止まりだった都大路を走りたかった思いは残ったが、「次は大学駅伝で頑張ろう」とすぐに切り替えられたという。 創価大を選んだのは、「練習環境や寮が充実していたことと、近年の駅伝で目まぐるしい成長を遂げている。ここなら自分も強くなれるという直感があった」からだ。実際にチームに加入すると、「普段は明るく和やかですが、やる時はしっかりやる。チームの雰囲気が自分とマッチしていると感じました」と、良いモチベーションで大学生活をスタートさせた。 その昨年度、ルーキーながら三大駅伝フル出場を果たす。2位でゴールした出雲駅伝は、のちに留学生のドーピング規則違反が判明し、チーム全体で失格となったが、2区を区間5位相当で走破。全日本大学駅伝は4区16位、箱根駅伝は8区15位だった。三大駅伝を走り終えて感じたのが、「3本まとめるのがいかに難しいか」ということだった。 「駅伝シーズンの3~4ヵ月、ずっと良いコンディションでいるのは相当難しかったです。昨年も9月が一番調子は良く、そこからどんどん落ちていきました。12月にはシンスプリントになり、箱根もギリギリで出られた感じです。1年目だから勢いで出雲から行けるかなと思っていましたが、結局、行けませんでした」 距離への対応にも苦労した。「高校ではハーフまで走らないので、10000mより長いレースは不安ばかりでした。そう考えると全日本や箱根は自信もなかったですし、力もなかったと今は感じています」と振り返る。 今季の創価大は、出雲と全日本で3位以内、箱根で総合優勝を目標に掲げた。その中で小池はどういう役割を果たすつもりでいるのか。 「エース格のスティーブン(・ムチーニ/2年)や(吉田)響さん(4年)もいますが、僕も主要区間をしっかり走って活躍したいです。今は5kmが一番得意なので、出雲はスピードを生かせる区間、全日本は2区、箱根は往路を走りたいです」 小池はレースの際、果敢に集団の前に出たり、1人で飛び出したりすることが多い。それは「自分の性格もあるかもしれませんが、前でレースを進めた方が走り終わった後に収穫が多いから」と話す。 高校までは後半に失速することも少なくなかったが、めきめきと力をつけた今季は違う。駅伝シーズンでもスピード感あふれる快走で、創価大を勢いづけそうだ。 ◎こいけ・りき/2004年11月26日生まれ、長野県飯田市出身。高陵中→佐久長聖高→創価大。自己記録5000m13分34秒82、10000m28分26秒33、ハーフマラソン1時間3分26秒。
小野哲史/月刊陸上競技