「いつまでも行動に移せない人」が抱えている考え方の癖
行動を起こさなきゃと思っても、最初の一歩を踏み出せすことが出来ない人は多いものです。いつまでも動けない原因はどこにあるのでしょうか? 本稿では、メンタルコーチの大平信孝さんが「動けない人の思考の癖」について解説します。 ※本稿は、大平信孝『「すぐ動ける人」の週1ノート術』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
いつまでも動けない人の思考の癖
ここでは、不安になると足が止まってしまう方に共通する思考の癖をご紹介します。 ・正解待ち 「これ、という正解が見つかったらすぐ実行して、結果を出せる自信はある。けれど、今はどれが正しくて、どれが間違っているのかがはっきりわからない。早く誰か偉い人が、『これ!』という正解をはっきり指示してくれればいいのに。今は、白黒はっきりしないグレーゾーンのことが多いから、動きづらくて困惑している」 どんなことについても「こうしたらいい」「こうしたらダメ」と白黒がはっきりしていれば、ラクですし、もっとスムーズに動けますよね。私もそう思います。 でも実際は、違います。たとえ今は絶対的に正解と思われていることでも、時代が変われば不正解ということは、いくらでもあります。すごい人がただ1つの正解を指示して、それに従っていれば一生安泰という時代は、もう過ぎ去ってしまったようです。 逆にいえば、誰もが自分で正解をつくっていくことが許される時代になりました。正解は誰かがつくってくれるものではなく、自分で試行錯誤しながらつくっていくものです。 ・完璧主義 「仮に決めるとしても、白黒はっきりしないあいまいな状態で行動するのは自分の主義に反する。しっかり調べて、ちゃんと準備してからとりかかりたい。やるからには、ちゃんと決めて、ちゃんと結果が出るまでやりたい」 確かにその通りです。しっかり調べて、しっかり準備して、ちゃんと決断して、結果が出るまで、最後までやりきれたら、最高です。でも、ハードルが高すぎませんか。完璧な基準で動けるならいいのですが、基準が高すぎて、逆に足を引っ張っていませんか。 未知のことに挑戦するときや激動の日々の中では、最初から完璧を目指すことはほぼ不可能です。10割の出来を目指して何もしないよりは、5割の出来でいいので行動したほうが実際には物事は動いていきます。一度動き出せば、試行錯誤する中で軌道修正していくことができるからです。 ・失敗したくない 「絶対に失敗しないという確証がないと動きたくない。もういい歳だし、今さら大きな失敗をしてしまったら挽回するのは大変。だから、今は攻めるよりも守りたい。誰でも歳を重ねたらそうなるのが自然だと思う」 失敗したくないという気持ちはよくわかります。失敗を挽回するのが大変なことも痛感しています。でも、もし「失敗しないこと」が仕事や人生の目的になっているとしたら、それはもったいないです。 失敗しないことは、成功でも幸せでもないからです。むしろ変化の時代には行動しないこと、挑戦しないことが最大の失敗かもしれません。 そんなあなたには、心理学者のアルフレッド・アドラーの言葉を贈ります。 「仕事で失敗しませんでした。働かなかったからです。人間関係で失敗しませんでした。人の輪に入らなかったからです。彼の人生は完全で、そして最悪だった」 「人は失敗を通じてしか学ばない」 今は大きな問題はないかもしれませんが、数年後には支障があるかもしれません。だとしたら、手遅れになる前に今から動き出してみませんか。 ・条件待ち 「時間もお金も自信もない。これらが揃えば自分だって動ける。でも、残念だけど今の自分にはないから無理」 世界三大言い訳をご存知ですか?「時間がない」「お金がない」「自信がない」の3つだそうです。条件というのは永遠に揃いません。お金があっても時間がない。時間もお金もあるけれど、自信がない。自信と時間はあるのにお金はない。といったように、3つを同時に完璧に満たすことは現実的ではありません。 だとしたら、今の自分で、現状で動いてみませんか。アドラーは、「重要なことは人が何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである」と言っています。今あるもので勝負してみませんか。 どれか当てはまるものはありましたか? まずは自分の思考の癖に気がつくことで、不安を希望に変えるスタート地点に立つことができます。