アウトドアで「Arai Tent(アライテント)」の「Air Raiz(エアライズ)」が選ばれ続ける理由とは?
ダブルウォール(2層)が主流になった理由は「前室」の利便性にあり!
シングルウォール(1層)のほうがシンプルで、設営も簡単だし、フライシートをかけるダブルウォール(2層)のテントより魅力的に感じるところもある。実際に1980年代の中盤から1990年代の中盤まで、約10年はシングルウォールのドーム型テントが隆盛だった。徐々にダブルウォール(2層)の利便性と必然性が認められて主役が交代した。 「シングルウォール(1層)の時代、多くのテントはゴアテックスなどの防水透湿素材で作られていました。しかし、雨天の際に出入口を開けるとそこから雨が降り込んできます。これを避けるために、シングルウォールのテントにさらにフライシートをかけて使用するケースが出てきました。そこまでするのなら、初めからダブルウォールのテントを携行したほうが合理的ではないかという機運が1990年代に高まりました」
フライシートをかけるなら、中のテントを防水生地にしなくても、フライシートが防水や防風、保温の効果を高めてくれる。ゴアテックスなどの防水生地は高価だし、軽量化を図るにも限界がある。ダブルウォールにして素材を見直すと、価格がよりリーズナブルになり、テントがより軽量コンパクト化できる。徐々にダブルウォールが主流になった。 「もう一つの理由は、テントの外側に『前室』が欲しいというニーズです。脱いだ靴をテントの中に入れたくないけど、外で野ざらしにするのも何となく嫌だから、ひさしが欲しいということになるとフライシートの出番です。 また、消費者保護の観点から1990年代の中頃に施行されたいわゆる『PL法』の影響で、テント内での火器の使用が制限されたことも『前室』のニーズを増大させました。テントの外で煮炊きするにしても雨が降ってきたら困る。そこでフライシートのひさしで『前室』を設ける需要が強まったわけです」
フライシートとインナーテントの出入口をオープンにしたとき、そこにできる多少の屋根つき空間が『前室』だ。この空間の利用価値に多くの人が開眼した結果、ダブルウォール(2層)のテントが現在のように主流になった。前室の空間の取り方は製品によってバリエーションがあるので、それを選択の基準にするのも一つの考え方だろう。