国語の得意な子がやっている意外な読書法とは? 本にアートを掛け合わせ、読書を3倍楽しくする
私の教室では、アートを用いて「2次元を立体化する力」を鍛えています。例えば、ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞し、その少女が本当に目の前にいるかのようにイメージしてもらいます。そして、絵の中の少女と対話を始めてもらうのです。 対話の内容はすべて紙に書き出しますから、話の辻褄はあっているか? 論理的な会話になっているか? をチェックしながら、生徒と少女の会話が終わるのを見守ります。こうして、動くはずのないもの、しゃべるはずのないものを自分の頭の中で動かしてみる、想像してみるということを繰り返していくと、徐々に立体化ができるようになってきます。
少しずつ映像化ができるようになって、読書が楽しめるようになってきたら、挿絵の多い平易な本から、徐々に本のレベルを上げていくようにしましょう。本に書かれてある対象年齢はまったく気にしなくて構いませんから、お子さんが内容をきちんと理解できる本を与えてあげることが大切です。 こうしてサポートしてあげますと、ほとんどのお子さんが小学校中学年レベルの本までは、なんとか読んでくれるようになります。でもそこからあと一段レベルを上げて、高学年向け以上の本を進んで読んでくれるようになるには、もう一つ大きな壁を越えてもらわないといけません。
そんな時にも、私の教室ではアートの力を借りています。なぜなら、小学校高学年~中学生に読ませたい「ギリシア神話」や「聖書物語」、西洋文学の数々は、それらをモチーフに創作されたアートに事欠かないからです。つまり、本だけで文学を楽しませるのではなく、本とアートを掛け合わせて読書を何倍も楽しんでもらおう! というわけです。 例えば、生徒に、そろそろシェイクスピアの4大悲劇ぐらい読んでほしいなあと思ったとしましょう。でも、いきなり「シェイクスピアを読もうよ」と言っても、難しそうだなと抵抗感を持つ子が多いんですね。そういう時には、ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」という絵画作品を事前に鑑賞してもらいます。絵を見て、オフィーリアがなぜ川の中に横たわっているのか? これからオフィーリアはどうなるのか? といったようなことを、まず自分で考えてもらうのです。