会社が「固定給」から「完全出来高制」に変わると言われました。このままでは収入が大きく減ってしまうので不安です…
会社で勤めていると受け取れる給料の体系には、大きく分けて固定給と出来高制があります。固定給は、月収制や年俸制などのことで、毎月渡される金額が決まっている制度です。いっぽう、完全出来高制になると、仕事に応じて収入が変動します。 もし会社に入社したあとで固定給から出来高制に変更された場合、気になることの一つは収入がどれくらい変わるかです。仕事量に応じて大きく変動するため、人によっては年収が減る可能性もあります。 今回は、完全出来高制の仕組みや給料などについて、分かりやすくご紹介します。
給与の種類
会社から渡される給与には、固定給と出来高制の2種類があります。固定給とは、勤務時間によって受け取れる給与額が決定する方式です。時給や日給、月収、年俸制などが該当します。 毎月決まって受け取れる基本給に、通勤手当などが上乗せされる仕組みです。毎月安定した収入を得られるメリットがあります。 一方で出来高制では、仕事の業績に応じて給与が支払われます。完全出来高制になると、業績に応じた給与のみ支払われる点が特徴です。仕事をすればするだけ収入を増やせるメリットがあります。
完全出来高制でも給料は保障される?
固定給から完全出来高制になると、勤務時間ではなく業績に応じた給与形態へと変動します。そのため、人によっては収入が大きく変動する可能性も少なくありません。しかし、雇用契約を結んでいれば、給与の保障はされます。 ■法律で給与の保障が定められている 労働基準法第27条では「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」と定められています。 そのため、雇用契約を結んでいる会社が固定給から完全出来高制に移行しても、給与がいきなりゼロに近くなることは基本的にありません。なお、具体的な金額は明記されていませんが、休業手当などは6割ほどのため、出来高制の賃金手当の目安を6割ほどとしている自治体もあります。 ※出典:福井県公式ホームページ「職場のトラブルQ&A」 また、労働基準法第120条によると、雇用者により働いた時間に応じた賃金保障がなされていない場合は、30万円以下の罰金の対象です。もし出来高制に移行したあと、不当に低い賃金しか受け取れない場合は、専門家などに相談しましょう。 ■業務委託で会社とやり取りしている場合は保障範囲外になるケースもあるため注意 フリーランスと呼ばれる働き方は、働いている本人が事業主となり、事業所から業務依頼を受けて仕事をしている状態です。労働基準法第9条では、労働者を事業に使われる者と定義されているため、個人事業主は対象にならない可能性があります。 そのため、個人事業主として業務委託で完全出来高制の仕事を請け負う際は、労働時間に応じた賃金保障がなされないケースも多くあるため、注意しましょう。 一方で業務委託契約でも、実質的に労働者であると判断されるケースもあるため、気になる方は労働基準監督署などに相談してみることもおすすめです。