自民県議運営の高齢者施設で虐待、市が行政処分 処方箋なしでイベルメクチン投与、職員が大量退職し県警に告発 指宿市
鹿児島県指宿市は22日、鹿児島県議会の小園成美議員(自民・指宿市区)が同市で運営する高齢者福祉施設で、医師の処方箋なく抗寄生虫薬「イベルメクチン」を入所者に投与するなどの虐待があったとして、半年間の新規利用者受け入れ停止などの行政処分をしたと発表した。処分は3日付。 【写真】〈関連〉指宿市の位置を地図で確認する
市によると、入所者に対し、無処方投与をはじめ、2022年8月から23年6月にかけて複数の虐待事案があったと確認した。処分期間は11月1日~25年4月末。新規受け入れ停止のほか、介護報酬の請求上限を7割とする。 小園県議は今年3月末、運営するグループホーム「すもも」「すももの里」のホームページで、並行輸入したイベルメクチンを医師の指示なく新型コロナウイルス対策で入所者に投与したとするおわび文書を掲載した。厚生労働省などによる新型コロナウイルス感染症「診療の手引き」は、イベルメクチンについて「有効性が示されず使用すべきでない」とする。 件数や関与した人数などについて、会見した黒永英樹副市長は「回答を差し控える」と明らかにしなかった。市は3~9月、職員の大量退職などを受け、2施設に介護保険法に基づく監査を行ったが、人員配置や運営基準、介護報酬の請求に関しては「処分になる違反は認められなかった」とした。
小園県議は処分に関し、「深く反省している。入所者が動揺しないよう、市の指導に基づきしっかりと運営していく」と話した。 投与をめぐっては、施設の元職員らが4月、医師法違反などの疑いで指宿署に告発状を提出している。
南日本新聞 | 鹿児島