空き家がレトロおしゃれな150店舗に大変身! 長野・善光寺周辺にカフェや雑貨店、古着屋など、マッチングでにぎわい生む地元不動産会社の手腕
長野県長野市の善光寺門前エリアは、若い世代を中心に空き家をリノベーションした店が増え、にぎわいを創出しているまちとして、全国的にも注目が集まっています。その立役者として知られるのが、空き家専門不動産会社「MYROOM」の倉石智典さん。事業を始めたい人に空き家を仲介するに至った思い、長年まちを案内している「空き家見学会」のこと、新たな拠点でスタートした“まちづかい”への取り組みについて、お話をうかがいました。
空き家活用で150店舗オープン。空き家専門不動産会社「MYROOM」
長野駅からぶらぶら歩けば30分ほど。古い街並みが残る善光寺門前エリアでは、ここ20年ほどの間、空き家を活用した小さな店舗が次々とオープンし、にぎわいを生み出しています。
この界隈で事業を始めたい人と空き家をつないでいるのは、2010年に創業した「MYROOM」代表の倉石さん。MYROOMはいわゆる通常の新築・中古物件は取り扱わない、空き家専門の不動産会社です。設計事務所と建設業も兼ねていて、リノベーションの設計施工や管理までワンストップで行っています。
これまで倉石さんが事業者と空き家をマッチングした事例は、ゲストハウスに雑貨店、ブックカフェなど、およそ150軒にものぼります。そもそも、なぜ空き家専門の不動産会社を始めようと思ったのでしょうか? 「空き家を専門に扱っている不動産会社がなかったからです。なにも、地域活性化とかまちににぎわいを、と考えたわけではなくて、ビジネスとして、ニッチなところを狙ったというわけです」と、倉石さんは穏やかに話します。 創業当初、空き家は全国的に問題になり始めていました。ご多分に漏れず、長野市中心部の善光寺界隈も、使い手のいない古い空き家が増え続けていたころ。「建物って、地理や産業の成立ちを背景に建てられてきたじゃないですか。今は時代が変わって、ライフスタイルも変わった。人生の中で人は移動するし、人口もどんどん減っている。地理も産業も引継ぐ必要性はなくなりましたよね。どこでも住めて誰でも家が手に入る。このままでは、空き家だらけになっていってしまいます」
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