【GARNiDELiA インタビュー】“世界でちゃんと戦えるよ”と示せる存在でありたい
日本国内はもちろん、アジア各国でも大人気のGARNiDELiAが約2 年振りのアルバム『TEN』を完成させた。多彩な各曲はこのユニットの唯一無二の魅力を存分に体感させてくれる。大型タイアップ曲はもちろん、書き下ろしの新曲も必聴だ。MARiA(Vo)とtoku(Key)が今作について語ってくれた。 GARNiDELiA インタビューのその他の写真
長く活動すればするほど新しいものをかたちにし続けるのは課題
──約2年振りとなるアルバムですが、デビュー10周年の節目を飾る作品でもありますね。 MARiA:あっ、そうか! toku:10周年だね。 MARiA:だから、タイトルが“TEN”? toku:そういうことにしよう!(笑) MARiA:いろんな意味でとらえられるようにアルファベットにしたんですけど、自分たちとしては楽曲の「―TEN―」で《響け一天/まさに天変/登れ衝天/掴め天辺》とか、たくさん“TEN”と言っているように、この“TEN”を掲げたくてつけたタイトルなんです。“てっぺんを取る”みたいなことだったんですけど、10周年という意味も入ったね? toku:うん。良かった(笑)。 MARiA:その意味をいただきましょう(笑)。 ──(笑)。アルバム用の楽曲制作はいつ頃までやっていたんですか? toku:「―TEN―」は先日のワールドツアーの上海公演の時(2023年9月30日)、楽屋で作ったんです。これが最後に作った曲だよね? MARiA:うん。 toku:それまでもアルバムの曲を作っていたんですけど、「―TEN―」がアルバム全体を総括してくれるものになるんじゃないかと思ったんです。 MARiA:上海公演の楽屋でメイクしながら“どうする?”って話し合った思い出があります。ワールドツアー中に作ったのでライヴ感がありますね。前回のアルバムはコロナ禍が明けるか明けないかの瀬戸際で、リリースしたあとのツアーもお客さんに声を出していただけない会場があったんです。アルバムの制作自体もデータのやりとりで終わっちゃうことが多かったので、この前のツアーはそういう感じから大きく変わりました。 ──海外での公演の数もかなり多かったですよね? MARiA:はい。ツアーでいろんなところに行ったので家にもほぼ帰らず(笑)。だから、前作では出てこなかったような言葉を歌詞で使っていますし、音に関してもそうなったのが今回のアルバムです。そういう感じが特に出ているのが「―TEN―」だと思います。 ──おっしゃるとおり、全体的に勢いを感じる曲が多い印象です。 toku:ツアー中にいろいろな曲を作りましたからね。メッセージ性があったり、リズムが強いものが多くなったのかなと思います。 ──「FRONTiER」も国境を越えて広い世界へと飛び出そうとしているみなさんの姿が伝わってきます。 MARiA:ありがとうございます。どちらかと言うと、日本にいることのほうが違和感があるくらいになっていますから(笑)。最近はほとんど中国にいるので。 toku:今、こうして日本にいるのが不思議な感じなんですよね。 MARiA:日本人のスタッフに“謝々”ってお礼を言っちゃうこともあります(笑)。 ──中国での人気が特にすごいことになっていますよね? MARiA:はい。嬉しいですね。テレビ番組がきっかけだったんですけど。 ──この状況に至る最初のきっかけは、2016年にアップロードした「極楽浄土」のダンス動画? MARiA:そうですね。あの動画が広がったのが、中国のテレビ番組への出演にもつながっていきました。 ──GARNiDELiAのどのような部分を中国の方々に好きになってもらえたと感じていますか? MARiA:それが分からなくて。なぜ「極楽浄土」を好きになってもらえたのか、誰にも分かっていないんですよ。“なんか好き”っていう感じで、聴いてくださっているみなさんも言葉にできない感じらしくて。 toku:例えば「極楽浄土」っぽい曲を作ったら中国での再生数が伸びるのかと言えば、そうでもないですし。認知度の高いアニメの曲でも盛り上がってくれますからね。新しいものを求めてくださっているのも感じます。 ──個性的なサウンドなのが、海外のみなさんにとっても魅力的なんだと思います。例えば「謳歌爛漫」の和の要素が入ったダンスサウンドも、とでも新鮮なテイストですから。 MARiA:こういうのは得意技ですね。 ──ミクスチャーの達人ユニットですよね? toku:そうなんですかね? アニソンをたくさんやらせていただいてきていますけど、アニソン自体がジャンルレスのミクスチャーになっているのもありますし、そういうのを自分たち流に表現したいという気持ちは常に持っています。 MARiA:長く活動すればするほど、新しいものをかたちにし続けるのは課題ですね。 ──「一蓮托生」も個性的なサウンドですが、独特な音色は胡弓ですか? toku:二胡です。 ──この曲もそうですけど、懐かしい感じの音色や旋律がありつつ現代的な仕上がりなのが、みなさんの音楽の独特さだと思います。 MARiA:うちのライヴはお客さんも多国籍で、いろんなスタイルの盛り上がり方をしていただけるんですよね。ワールドツアーをすると国ごとの盛り上がり方みたいなのを感じることがあります。“ここのみなさんはこの曲が好きなんだな”っていうのもありますし。 ──中国は広いですから北京と上海でも雰囲気が変わるんでしょうね。 toku:それは実感します。中華国料理が地域によって変わるのと同じように、ライヴの雰囲気も会場毎で変わるんですよね。 MARiA:いろんな場所でライヴをするようになったので“この街だからこうしよう”っていうのも、もはやなくなっています。常にフラットな状態でステージに立つというのが、今のモットーですね。“好きになってくれた全員に楽しんでいただく”というのを目指しているので。サウンド面に関しても“J-POPではあんまり使わないような感じもやってみようか?”ってどんどんチャレンジするようになっています。 ──2023 年原神誕生日応援ソングの「Future Wing」も、かなり攻めていますね。 MARiA:ありがとうございます。上海のホテルで歌詞を書きました。タイアップの曲を書くというよりも、今の中国での状況になった私からファンのみなさんへの気持ちという感じでしたね。支えてくださるみなさんのおかげで奇跡のようなことを体感していて、応援が翼みたいに感じられるんです。高いところまで連れて行ってくれて、今までに見たことがない景色を見せてくださっている感覚なので。 ──打ち込みによるサウンドだけではなくて、人力の楽器演奏も大事にしていますよね? toku:はい。ツアー中にラップトップで作ることも多かったので、生のサウンドに関しては“こういうギターを入れて欲しいんだけど”というようなやりとりをリモートでしました。前作の『Duality Code』(2021年11月発表のアルバム)は、ほぼお任せで、打ち込んだものをなぞって弾いていただくことが多かったんですけど、今回は海外にいながらセッションができました。ギターと二胡は特に生じゃないとダメだというのがありましたね。 MARiA:弦楽器は特にそうだよね? toku:うん。それと同時にPCでの制作環境が若返ったのも大きいです。新しく見つけた音色や作った音色をダイレクトに楽曲に反映することができた面もあって、それもアルバム全体の勢いにつながったと思います。