小学2年生のバリスタが語るコーヒーの奥深さとは?「コーヒーは自由」「パナマ産の“ゲイシャ”はおいしい」8歳の誕生日にはカフェの1日店長にも挑戦
俊介くんが綴るコーヒー日記の中身
ミスを見破られたことで、俊介くんの味覚に興味を持った中楯さん。試しに、パナマ産の「ゲイシャ」と呼ばれる最高峰のコーヒー豆で淹れたコーヒーを出してみることに。一口飲んだ俊介くんは、「おいしい!!」と感動。ブラックコーヒーをごくごくと飲み干した。 「ポジティブな味もネガティブな味もちゃんと繊細に感じ取れるんだってわかって。お母さんに『この子は素晴らしい感覚を持っているから、カップラーメンとか食べさせないで大事にしてあげてください!』って言いました(笑)」(中楯さん) 中楯さんとの出会いをきっかけに、コーヒーのおもしろさに目覚めた俊介くん。週に1回は中楯さんのお店に通いながら、家族でさまざまな珈琲店を巡るように。コーヒーにまつわるいろんな人の話を聞いたり、コーヒーを飲んだりするなかで疑問に感じたことを「師匠」に質問することで知識を深めていった。 そして、コーヒーを淹れることにも興味を持つように。中楯さんのドリップセミナーに参加したお母さんからやり方を教えてもらい、ドリップの基本を学んでいった。 それまでは単なる趣味だったコーヒーに本気になったのは、ある失敗がきっかけだった。 2024年1月、中楯さんのお店の常連にコーヒーを淹れる機会をもらった俊介くん。いつも通りに淹れたはずが、注ぐお湯が多くなってしまい、ぼやけた味に。 家に帰ってからも、思った通りの味を提供できなかった悔しさが消えなかった。行き場のない悔しさを何かにぶつけたくて、その日からコーヒーの日記をつけ始める。その日の日記にはこう書かれていた。 「うんなん。19ccおおかった。あじがぼけた。おいしくなかった。人にのませたくなかった。くやしかった」 このページについて中楯さんはこう解釈する。 「俊介くんなりにちゃんとしたものを抽出してお客さんに楽しんでもらいたいっていうイメージがあった。だからこそ、それとあまりにもかけ離れたものを出した罪悪感があったんだと思います。それを感じられて、あそこまで落ち込めるのは、プロフェッショナリズムがあるなって思いました。 コーヒーにまつわるいろんな人に会って話を聞いているからこそ、その人たちの想いを俊介くんなりに背負ってコーヒーを淹れている。落ち込む彼のことを見て、『小学生なのにコーヒーが淹れられてすごいね』っていうんじゃなくて、ちゃんとひとりのプロとして接しようと思うようになったんです」
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