金融庁、MUFG傘下3社に業務改善命令-顧客情報を無断共有
金融庁の担当者は今回の事案について、金商法のFW規制に照らして問題との認識を示し、証券会社の間での公正な競争の確保を阻害するものと指摘。MUFGに対してはグループ全体を管理する立場として内部管理体制の強化に適切に取り組んでほしいと述べた。今回の事案では「優越的地位」の乱用は認められなかったという。
この担当者によると、FW規制違反は07年に金商法が施行されてから、13年のRBSセキュリティーズ・ジャパン、22年の三井住友FGの事案を含め今回で3件目になるという。
MUFGと三菱UFJ銀、三菱モルガンは処分を受け、「銀証連携ビジネスの実態に適した管理体制が不十分だった」として「事態を重く受け止めている」との声明を発表。社内研修やモニタリング強化を含めた法令順守体制の構築など実効性のある再発防止策を策定していくとした。
モルガンMUFGも「今般の事態に至ったことは誠に遺憾」と陳謝した上で、この度の処分を「真摯(しんし)に受け止め、業務改善計画を速やかに提出し、改善策を確実に実行することで、内部管理体制の一層の強化を図っていく」とコメントした。
監視委14日、三菱UFJ銀と証券2社の間で、法人顧客から同意を得ないまま、非公開情報の授受が少なくとも26回行われていたなどとして金融庁に処分を勧告していた。銀行に禁じている証券業務に関する交渉や勧誘行為も認められたとしている。
監視委や金融庁の発表によれば、一部の不適切な勧誘については三菱UFJ銀の当時の代表取締役が報告を受け、認識していた。複数の関係者によると、この代表取締役はMUFGの三毛兼承現会長。MUFGの広報を通して三毛会長にコメントを求めたが、差し控えるとした。
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--取材協力:布施太郎.
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Takashi Nakamichi, Nao Sano