金融庁、MUFG傘下3社に業務改善命令-顧客情報を無断共有
(ブルームバーグ): 金融庁は24日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行と証券会社2社に対し、顧客企業の情報を無断で共有したなどとして、金融商品取引法に基づく業務改善命令を出したと発表した。MUFGには銀行法に基づき、原因の報告などを求める報告徴求命令を出した。
証券2社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券。経営陣を含む責任の所在の明確化、再発防止に向けた実効性のある業務改善計画の速やかな策定と着実な実施、経営管理体制ならびに銀証連携に関する法令順守体制を含む内部管理体制の強化などを求めた。
鈴木俊一金融相は24日夕、財務省内で記者団に対し、「わが国を代表する金融グループにおいて顧客情報の不適切な授受が行われていたことは大変遺憾」と強調。グループ全体で事態を重く受け止めた上で、再発防止に向けた抜本的な対応策を取ることを求めるとともに、「金融庁としても各社の業務改善状況をフォローアップしていきたい」と述べた。
同庁は持ち株会社のMUFGに対し、三菱UFJ銀で発生した事案の原因分析と問題認識などについて報告を求めた。三菱UFJ銀にも原因分析や再発防止策は金融庁は銀証3社とMUFGに7月24日までに、それぞれ業務改善計画や報告書を提出するよう命じた。
グループ銀行・証券間での顧客情報共有を制限するファイアウオール(FW)規制違反は、三井住友フィナンシャルグループ傘下の銀証間でも2022年に判明していた。その後も同様の事例が繰り返されていたことで、大手銀行グループの法令順守体制が厳しく問われることになる。
金融庁の処分に先立ち発表された証券取引等監視委員会の処分勧告以降、三菱モルガンが債券の引き受け主幹事から外れるケースが相次いでいる。24日までにNEC、日本政策投資銀行、国際協力機構(JICA)などの発行体による除外が判明している。行政処分を受けたことで、さらなる影響も懸念される。