オバマ元大統領もお気に入り映画に選出『ポライト・ソサエティ』主演女優を直撃インタビュー
この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『ポライト・ソサエティ』。今回は、主演女優・プリヤ・カンサラのインタビューも特別掲載。気になった方はぜひ劇場へ。 【写真】JKバトルアクション『ポライト・ソサエティ』場面写真【12点】 〇ストーリー ロンドンのムスリム家庭に生まれ、スタントウーマンを目指してカンフーの修行に励む女子高生リア・カーンはいくつもの悩みを抱えている。学校では頭の固い先生や意地悪な同級生に目を付けられ、両親からも将来の夢を諦めて堅実な仕事に就くように説教される毎日。唯一の理解者は芸術家志望の姉のリーナだったが、彼女は突然プレイボーイの富豪と恋に落ち、海外に移住することに。彼の一族に不審な点を感じ取ったリアが独自に調査を開始すると、その結婚の裏にはとんでもない陰謀が隠されていた――。はたしてリアは、彼女たちを枠に当てはめようとする厳しい社会の掟を蹴散らして、リーナと自分の人生を勝ち取ることが出来るのだろうか? 〇おすすめポイント 「プリジャートン家」や「ネイサンと悪の血脈」といったドラマでの端役経験しかなかったインド系イギリス人のプリヤ・カンサラが主役に抜擢され、圧倒的な存在感を世界に見せつけたイギリス映画『ポライト・ソサエティ』がついに日本上陸!! プリヤは今作のなかで、パキスタン系イギリス人を演じているのだが、これはおそらくニダ・マンズール監督自身を反映させているのだろう。プリヤもニダ監督もボリウッド映画のファンであり、随所にインドエンタメ愛が溢れている。 そしてそこにカンフー映画要素やタランティーノの『キル・ビル』的要素が盛り込まれているのだ。突然、日本の曲「ちっちゃな時から」が使用されているところからもタランティーノの香りがしてくる。 ニダ監督が手掛けたドラマシリーズで「絶叫パンクス レディパーツ!」という作品があった。こちらも共通しているように、現代にも蔓延る、女性の幸せは結婚が全てという保守的な概念を突き崩そうとする社会へのメッセージ的側面もある作品ではあるが、基本的にはコメディ映画であり、ところどころにあるヘンテコなギミックを楽しむのが正解な作品。 そのなかでパキスタン系なのにインドエンタメ?ボリウッド?と思うかもしれないが、これは正しい描写である。もちろんパキスタンにも映画産業は存在しているが、パキスタンにおいてインドエンタメは共通娯楽なのだ。 政治的には、ぎくしゃくしているインドとパキスタンではあるが、一般人同士がいがみ合っているというわけではないし、それはドラマ「ミズ・マーベル」のなかでも描かれており、シャー・ルク・カーンの映画で盛り上がるシーンもあった。今作でもダンスシーンではシャー・ルクの『デーヴダース』(2002)のシーンをオマージュしており、ニダ監督もプリヤもシャー・ルクが大好きなのだ。 インドでもパキスタンでもスリランカでも……シャー・ルクの存在は本当に大きいし、おおげさではなく、南アジアの人々を平和的に繋いでいると改めて思った。 そしてこの度、PRのためにプリヤが来日したということで、そんなシャー・ルク愛についてや、マーベルの作品に出演したいかなど、どのメディアも聞いていないようなことをインタビューしてきた。 ▽リア役プリヤ・カンサラ インタビュー ──近年、インド系の俳優が逆輸入でイント映画に出演することが増えてきています。例えばボリウッドで活躍するシャーリー・サティアやAmazonプライムドラマ「女子高生は泣かない」のアヴァンテイカなどもいますが、プリヤさんにインド映画のオファーがあったら受けたいと思いますか?もしくはすでにそういった話があったりするのでしょうか? まだはっきりとした企画はいただけていないのですが、そういった話がないわけではないですし、今後、全く無いということもないと思います。 もともとボリウッド映画は小さい頃から観ていて、自分の演技や映画に対する考え方にも影響をあたえてくれました。自分の好きなスタッフや俳優たちが関わっているプロジェクトであれば、ぜひ参加したいと思います。 ただ、そういったオファーがあったとしても、インドエンタメ業界に完全に向いてしまうのではなく、私はインド系であってもイギリス人ですから、まだ欧米で語られるべきものや、インド系イギリス人俳優としかできないこと、居場所を作っていくことも大切だと思っています。 ──子どもの頃から母と一緒にボリウッド映画を観ていたことが、俳優の道に進むきっかけとなったと、様々なインタビューや記事で拝見したのですが、今もボリウッド映画は頻繁に観られているのでしょうか? はい。今もボリウッド映画やインドのドラマシリーズ、音楽なども頻繁に観たり聴いたりしていて、常に刺激を受けています。 ただ、大人になるにつれ、他の文化圏の作品にも興味を持つようになったため、インドエンタメ意外にも様々な作品を観るようになり、そこで常に新たな発見ができています。 ──そのなかで、インド映画、もしくはインドに限らず好きな作品はありますか? 『デーヴダース』(2002)や『ラガーン』(2001)が大好きですし、シャー・ルク・カーンは私のイチオシ俳優なので、シャー・ルクの作品は大好きです。 欧米の作品ではピクサーのアニメーション映画が大好きで、なかでも『Mr.インクレディブル』(2004)が大好きですし、ジャック・ブラック主演の『スクール・オブ・ロック』(2003)やウィル・フェレル主演の『エルフ ~サンタの国からやってきた~』(2003)、ほかにもジム・キャリー主演のコメディなども大好きです。 メリル・ストリープやヴィオラ・デイヴィスは生き方に共感する部分が多く、尊敬していますので、彼女たちが出演する作品はどれも観ています。