映画『オッペンハイマー』を予備知識ゼロで観た私の、作品をより深く理解できるおすすめ鑑賞法
この映画を観たあとに合わせておすすめしたいのが、Netflix 制作ドキュメンタリーシリーズの『ターニングポイント 核兵器と冷戦』。広島と長崎の原爆投下の映像や被爆者による証言のほか、オッペンハイマーやアインシュタインの映像から、ロシアのウクライナ侵攻の背景まで。なぜ核兵器が作られなければならなかったのか、それにより世界はどう変わってしまったのかをわかりやすく描いた秀作です。 核兵器が誕生してから我々が何度も、アメリカや旧ソ連のちょっとしたコミュニケーションエラーや勘違いで核兵器使用寸前まで行っては、人の「直感」などという曖昧なものに助けられて地球滅亡の危機を回避していた、という史実も登場。チェルノブイリや福島の原発事故のエピソード然り、原子力は人間の手に負えるようなエネルギーではないということもよくわかり、個人的には、今年観たどんなエンタメ作品よりも面白かったです。 広島・長崎への原爆投下から70年の年にこの映画が作られたということ。そして今年5月、現在進行形でイスラエルのガザ侵攻が続く中、アメリカのグラム上院議員が「我々が広島、長崎に原爆投下をして戦争を終結させたように、イスラエルもユダヤ人国家として生き残るために何でもするべきだ」と核兵器の使用を仄めかす発言をしたこと。そんな世界情勢の中で上映中の『オッペンハイマー』。この映画を観ることで、今日本や海外で起きている様々な事件を、より解像度高くみつめられるようになるのではないでしょうか。
さかい もゆる