首相訪米は「時代を画する」成果、安保協力強化へ-佐々江元駐米大使
(ブルームバーグ): 佐々江賢一郎元駐米大使は、今月行われた岸田文雄首相の米国訪問について、経済を含めた安全保障などで同盟関係を強化する姿勢を世界に示した「時代を画する」成果を挙げたと分析している。
佐々江氏は23日のインタビューで、安全保障協力では受け身になりがちだった日本が米国と歩調を合わせながら、アジア太平洋地域の平和を「自身の問題として支えていく」姿勢を内外に発信できたことに今回の訪米の意義があると述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻などを挙げ、現在の国際社会では「リベラルオーダー(自由主義的な国際秩序)に対するチャレンジが非常に大きくなった」と指摘。途上国の間にも利害関係が生じるなど単純な構造ではなくなっているとも語った。
2012年から18年まで駐米大使を務めた佐々江氏は、オバマ政権の後半や17年のトランプ前政権発足時に日本の対米外交を最前線で仕切った。在任中の15年には安倍晋三元首相が上下両院合同会議で日本の首相として初めて演説した。佐々江氏の発言は岸田首相の訪米は安保関連3文書の改定や防衛費の大幅増など日本の大きな政策転換を受け、防衛協力が新たな段階に入ったとの見方を示したものだ。
岸田首相は訪米中、バイデン大統領との首脳会談で、中国などを念頭に防衛協力を進展させる方針を示した。フィリピンを加えた3カ国首脳会談も行い、連携強化を確認した。議会での演説では、日本は「外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国」へと自らを変革し、米にとって「グローバルなパートナーとなった」と語った。
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日米関係には超党派の支持
日米首脳会談では経済安全保障においても、人工知能(AI)、量子技術、半導体、バイオテクノロジーなどの分野での協力を続けていくことも確認した。佐々江氏は「経済同盟についての新しい姿が今見えつつある」と述べた。
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