【作ってみよう】目からウロコの味噌汁カスタマイズ術
漫然と作ってはいけない味噌汁の正体に迫る
味噌汁を口にしたことがない日本人はいないだろう。そして、嫌いという人もあまりいない。それほどまでに味噌汁は空気のような存在で、われわれにとって身近な料理である。 「身近であることには違いありませんが、それを簡単と混同してはいけませんね」。こう語るのは、麹に代表される発酵が料理に及ぼす好影響に感銘を受け、独自に研究・実践を続け、いまや国内外で発酵文化、知見を活かした発酵料理の考案・提案を行っている“発酵料理人”伏木暢顕さんだ。 「味噌汁は一品料理として捉えています。一つの椀の中で『出汁』と『具』、そして発酵食材である『味噌』が一体となった料理です。この三者のバランスが重要でして、組み合わせるためには、それぞれの性質を理解する必要があります。まずは具材から考えましょう。わたしが味噌汁に適していると考える具材を大別すると「葉物」、「乾物」、「汁を吸わせるもの」、「貝類」となります。これらを同じ方法で調理してはいけません。葉物は食感や香りを楽しみたいですし、汁を吸わせるにはそのための工程が必要です。そして、味噌。これは具材から導くのが良いでしょうね。旨味の濃い具材なのか、繊細な香りがあるのか、塩味があるのかなど、具材の持つ個性に沿って味噌を選んでみるといいと思います。ここまで決まれば、あとは出汁です。基本は濃い目に引いた合わせの二番出汁が良いですが、味噌や具材に合わせてアゴ出汁や昆布出汁が相応しい場合もあります。いずれにしましても、正しく組み合わせ、適切に調理すれば三者は個性を発揮しつつ、調和します。ここでいう“正しく”とはルールではありません。理屈を理解したうえで、出汁や具材、味噌は好みで選んで良いのです。この自由さも、味噌汁の醍醐味であり、魅力ですから。そして、味噌選びに迷ったときには、ぜひご自身の生まれ故郷の味噌を使ってみてください。幼い頃から慣れ親しんだ味噌の味は、理屈抜きで、あなたを幸せな気分にしてくれますよ」。