〈特別取材〉目黒蓮主演「海のはじまり」の脚本家・生方美久が今作で‟伝えたいこと”はふたつ
1回目でおすすめのシーン、セリフなどを教えてください。
センスがあるうえに努力してくれる撮影チームなので、映像美は裏切らないと思います。タイトルに「海」とあるわりに、ドラマ全体を通してたくさん海が出てくるわけではありませんが(笑)、1話はしっかり出てきます。「海のはじまり」というタイトルの意味合いを1話のファーストシーンとラストシーンですでに描き始めているので、考えながら感じ取りながら観ていただけるとうれしいです。1話に限らず、「選ぶ」「選択」「選択肢」といったワードには注目していただきたいです。
主演の目黒蓮さんそして泉谷星奈さんとご一緒されるのは2回目に。以前と今回の印象、そしてお二人への想いを教えてください。
脚本執筆を依頼された時点で言われたのは、「目黒さん主演で2024年7月期の月9。オリジナルで書いていいよ」ということだけだったので、親子を軸にした話がしたいと提案をさせていただきました。アイドルでもある俳優さんなので、一部で難しい反応もあったようですが、結果的に企画を通していいただけました。目黒さん自身が賛同してくれたことが何より大きかったようです。まずは企画を実現させてもらえたことに感謝しています。 個人的には「silent」の佐倉想という役から大きく飛躍させなくては、という考えはありません。目黒さんの持つ魅力を別角度で表現できればと努力はしますが、それは脚本のさらに向こうにあるものだと思うので、安心して本を委ねようという気持ちです。星奈ちゃんとの初対面の場にも同席したのですが、なんともいえない距離感がとても夏と海らしく微笑ましかったです。夏は「俺が父親になる!」と奮闘するタイプではなく、周囲の人たちの想いを考えながら、迷いながら、間違えながら、少しずつ“海にとっての父”を理解しようと歩んでいく穏やかな主人公です。温かみのある夏を豊かに演じてくださると思います。 星奈ちゃんとは、「いちばんすきな花」のときは実際にお会いすることができず、今回のオーディションで初めて会いました。実は「すき花」でキャスティングの話になったとき、わたしからプロデューサーに「今田美桜さんに似てて6歳の子役さんがいるんですよ」と星奈ちゃんのインスタを見せてました。とはいえ、そのときもオーディションです。実際に監督とプロデューサーがお芝居を見て決めてくれました。最近よく出てる、顔が似てる、年齢がちょうどいい、という理由だけで選ばれていません。毎度オーディションを勝ち抜いている、お芝居のできる俳優さんです。切ない表情が上手なのが海ちゃんを演じるうえで何よりも強みだと思います。普段はニコニコしてキャッキャとおしゃべりする普通の7歳の女の子なのに、カメラの前でスッと海ちゃんの気持ちが入った顔になるのはプロだなぁと感心します。