月間取引額2億円近くの作品も――韓国マンガ“躍進のワケ” 徹底した「ローカライズ」で海外市場に挑戦
海外でも人気のある韓国を代表するものというと、K-POPやグルメ、化粧品などをすぐに思い浮かべる人も多いと思う。それら以外にも今、韓国のあるものが、海外で伸びを見せている。それは「マンガ」。なぜ韓国マンガが伸びているのか? その背景を探ってみた。
■韓国マンガ 月間取引額1.8億円超の作品も
韓国オンライン向けマンガ大手の「NAVERウェブトゥーン」は、2023年12月、同社が保有するオリジナルマンガのうち、3本が日本での月間取引額1億円を超えたと発表した。 中でも、日本のオンラインマンガアプリ「LINEマンガ」で連載中の「入学傭兵」は、月間取引額が1億8000万円を超え、「LINEマンガ」の単一作品としては最大規模を記録したという。 「NAVERウェブトゥーン」では、こうした韓国マンガの好調さを背景に、23年の日本での取引額が初めて1000億円を超えたと明らかにしている。 なぜ今、韓国マンガが伸びているのか。コロナ禍の巣ごもり需要も関係しているとみられるが、韓国マンガの強みを「NAVERウェブトゥーン」の担当者に聞いた。
■韓国マンガ…強みと海外展開の“工夫”いろいろ
「NAVERウェブトゥーン」は、韓国のIT大手「NAVER」のグループ会社で、17年に法人を設立。オンライン向けのマンガを主な事業としている企業だ。 韓国でオンライン向けマンガは、「ウェブ」と、英語でマンガを意味する「カートゥーン」を組み合わせた造語「ウェブトゥーン」と呼ばれている。 「NAVERウェブトゥーン」の広報担当者に話を聞くと、韓国マンガの強みや海外に展開するときの“ある工夫”について教えてくれた。 まず、なんといっても「縦読みスタイル」だという。横読みのマンガが主流の中、スマートフォンなどのモバイル端末での読みやすさを追求したのが、「縦読みスタイル」だという。 さらに、1話が3~5分で素早く、手軽に見られるようになっていることも強みだとしている。
また、海外展開する際には「ローカライズ(現地化)」に注力している。例えば作画で出てくる看板を、その国で日常的に見られるような看板に変えたり、物語の中で使われているお札や硬貨を、それぞれの国のものに変更したりする。国によっては、肌の色や服装まで変えたり、宗教に敏感な国では背景を変えたり。細やかな心配りをしているという。