元金融機関職員が見た「インカムリッチ」の特徴。資産1億円超の「富裕層」が日本で増え続ける理由とは
富裕層・超富裕層の世帯が増え続けている日本。富裕層世帯の推移を確認
野村総合研究所の同調査によると、安倍政権の経済政策(「アベノミクス」)が始まった2013年以降、富裕層・超富裕層の世帯数が増加し続けていることがわかりました。 さらに、富裕層・超富裕層が保有する純金融資産総額も増加し続けています。 ・2015年:272兆円 ・2017年:299兆円 ・2019年:333兆円 ・2021年:364兆円 2019年から2021年にかけて、富裕層・超富裕層の合計額は9.3%増加し、364兆円となりました。 世帯数と純金融資産総額の増加の背景には、株式などの資産価格の上昇が考えられます。 また、資産形成や投資の流れが促進され、一部の投資家が大きな利益を得ることで、もともと資産5000万円以上を保有していた準富裕層が富裕層に繰り上がっていると予想されます。 また、資産は親から子、そして孫へと相続されます。 少子化の影響で相続される子どもの数が減少することで、1人当たりの相続額が増えることも影響しているでしょう。 ここまでは、野村総合研究所の定義に倣って「金融資産」に着目しましたが、次章では「世帯年収」に焦点を当てたお金持ちの特徴を紹介します。
【羨ましい】世帯年収1500万円の割合はどのくらい?年齢層も確認
ここからは高年収世帯の特徴を見ていきましょう。 株式会社博報堂が行った「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」レポートによると、世帯年収1500万円以上という「インカムリッチ」の割合は全体の2.4%であることが分かりました。 年代別にインカムリッチの構成比を見ると、男女ともに最も多いのは40歳代です。 インカムリッチに40歳代が多い背景には、この年代が役職に就き、転職も落ち着き始める時期であり、収入のピークを迎えることが要因の一つとして挙げられます。 保有する資産について、全体およびインカムリッチ(高収入層)の両方で「現金・預貯金」がトップですが、インカムリッチの約4割が「自宅の土地」(45.4%)や「株式」(45.4%)、また「生命保険」(41.1%)を保有しているのが特徴です。 また、「投資信託」(34.8%)や「貴金属・宝石類」(18.9%)の保有率も全体より10ポイント以上高く、預貯金以外の金融商品を積極的に利用していることがわかります。 これらの特徴は、以下のような傾向からも顕著です。 ・資産運用では、短期的な利益より中長期でのリターンを重視(61.1%) ・リスクを考え、資産の配分を管理(54.6%) ・ネット証券などを通じて自分で投資(51.5%) ・貯蓄よりも投資にお金を回したい(46.3%) 次章では、ファイナンシャルアドバイザーである筆者が、現役世代が資産家に近づくための3つのヒントを紹介します。